いまじゃなんと3億円のプライスタグ! R34型GT-Rの究極コンプリートモデル「トミーカイラR」の中身がヤバい!! (2/2ページ)

最上級のR-zは530馬力までパフォーマンスを向上

 このふたつの仕様、RとR-sは前述したトミーカイラのチューニングコンセプトに基づくもので、オリジナルのパフォーマンスを全体的に底上げしたもの。街乗りからワインディング、サーキットに至るまでオールマイティに使えるバランスのよさが魅力であったが、最上級のR-zはサーキットでのパフォーマンスを視野に入れた硬派仕様で、手なずける感覚を楽しむ上級者向けの特性が与えられた。

 エンジンは2.7リッターまで排気量アップされ、腰下には英国ファンドン製のスペシャルクランクを筆頭にH断面コンロッド、鍛造ピストンなどを採用。さらに、パワーの源となるシリンダーヘッドは、ポート研磨、面研、バルブのバランスの見直しなど吸排気効率を高めた。そのほかのパーツもR-z専用品が奢られた結果、出力は驚異的な530馬力/54.52kg‐mまで強化され、チューニングカーらしい迫力ある加速が味わえた。このスペックでありながら、公認コンプリートカーとして世に送り出したのは、トミーカイラの長年の経験と技術力の高さを物語っている。

価格はBNR34型スカイラインの約2倍。性能だけでなく価格もスーパー

 もちろん、R-sでもオプションであったAPレーシング製の大型ブレーキキットは標準装着され、曲がる、止まる性能も抜かりなくアップグレードされた。ちなみに、RとR-sは標準車とV-specの両グレードから選べたが、R-zのベース車はV-specしか選択できなかった。

 また、R-zはスペックだけでなく、価格面でも飛び抜けていた。BNR34型スカイラインGT-Rの約2倍となる1050万円のプライスタグを掲げたこともあり、生産台数は11台に留まっている(後期型は2台)。ただし、施された内容を考えればバーゲンプライスだといっても過言ではなく、チューニング市場が成熟するなか、他社と差別するための技術的なアピールの側面もあったように思う。

東京オートサロン2024年では3億円のプライスタグが掲げられた

 チューニングコンプリートという新たなビジネスの先駆けとして、業界をリードしてきたトミタ夢工房だが、2003年に惜しくも経営破綻。その後、いくつかの企業がブランドを引き継いだが、さまざまな理由で長く続かなかった。現在は紆余曲折を経て、かつてトミタ夢工房に在籍していたスタップが立ち上げたGTS株式会社がコンプリートカーおよびチューニングカー事業を継承し、歴代トミーカイラユーザーのサポートを行うとともに、現行スイフトスポーツをベースとしたm14を販売するなど、トミーカイラのスピリットを絶やすことなく、その火を灯し続けている。

 当時、トミーカイラの象徴であったR-zについては、2024年の東京オートサロンにて3億円のプライスタグをつけられ、大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。

 総生産台数11台という希少車であることから、今後も国内外のコレクターを中心に高値で取引されていくことは間違いないだろう。


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