タイヤの大部分がリサイクルされている
こういったルールが徹底されるようになったのは、不法投棄が多く発生していたためだ。それだけ、廃タイヤは処分の難しい厄介者だったのである。ところが、現在は中間処理段階で加工をし、そのほとんどが自動車のようにリサイクルにまわされているという。タイヤメーカーで構成する「一般社団法人・日本自動車タイヤ協会(JATMA)」の公表資料によると、その比率は90%を超えているというから驚きだ。
おもなリサイクル方法はふたつで、原形加工利用と熱利用である。前者は再生タイヤの台タイヤになるものと、再生ゴムやゴム紛になるものがある。こういった利用法は、全体の2割弱程度だという。ここでいう再生タイヤは、現在注目されているリグルーブタイヤやリトレッドタイヤと、必ずしも同じものではない。なぜなら、これらのタイヤは廃タイヤとなったものから加工しない(初めから加工を前提にした使用済みタイヤを回収して使用する)場合が多いからだ。
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後者は燃料や原燃料(原料と燃料を合わせたもので、どちらの役割ももつ)として燃焼させ、その熱を利用する。おもに、製紙工場、化学工場、セメント工場、製鉄工場、ガス化炉、タイヤメーカー工場、ボイラーなどで使用され、その割合は全体の65%前後である。そのほか、中古タイヤ、原燃料用チップ、カットタイヤが再生品として輸出されている。リサイクルされなかったものは、最終処分場で埋め立てなどの処理がされるという。
廃タイヤを有効活用しようという研究は旧くから行われており、活性炭、バッテリー電極などを試験的に生産するなどの例がある。しかし、コスト面や性能面などの解決するべき課題が多く、いずれも実用化には至っていない。しかし、タイヤは良質の合成ゴムなどから作られており、資源としての潜在的な価値が高い。有効活用への道が、少しでも早く開かれることを期待せずにはいられない。