給油するだけの場所ではやっていけなくなりつつある
新規開店の傾向としては、大型ホームセンターなどに併設されるケースが目立つようだ。近隣の専業スタンドに比べると、ホームセンターなどへの集客効果自体を高める意味でも周辺専業スタンドより安めの価格設定としているようである。集客効果、つまりガソリン販売での利益をあまり重視しないなかでの価格設定なので、周辺専業スタンドへ悪影響が直撃し、廃業が目立っているとも聞いている。
すでにガソリンの給油、そして車両整備や洗車などの付随施設のほか、コンビニやコーヒーショップを併設するガソリンスタンドも増えている。諸外国ではガソリンスタンドではキャッシャー(会計窓口)も兼ねたコンビニ(小さなスペースながら店舗を構えているところが多い)のような食料品や一部カー用品の販売を行う店舗を併設するのは半ば当たり前のようになっている。
ドトールのドライブスルーを併設したガソリンスタンド画像はこちら
先日ベトナムのハノイを訪れたときにはガソリンスタンドの敷地内に二輪と四輪それぞれの新車販売ディーラーが併設されていた。新車ディーラーならば日々納車予定車への給油(1台当たりはかなり少なくても、まさにちりも積もればとなりトータル給油量はかなり多い)を頻繁に行うなど、併設するメリットは確かに大きい(給油に来たついでに新車を見ようと思うひともいるだろう)と妙に感心してしまった。
ガソリンスタンドでパトカーが給油している光景を見たひともいることだろう。専業スタンドに外部委託したほうが経費負担軽減になるなど実務上の問題もあるようだが、署内に設備を設けずあえてガソリンスタンドで給油するのは、防犯上の効果やガソリンスタンド自体を防犯拠点として見ており、スタンドスタッフと連携を取っているとも聞いたことがある。いまネットでは制服警察官がコンビニで買い物をすることへ賛否がわかれているが、これもコンビニ強盗防止など、防犯効果を意識してあえて行っているとのことである。
日本でもセルフ給油式が当たり前となり、市街地では以前のフルサービス対応型からセルフ給油方式へ、設備改修ができないなど、さまざまな理由から困難ななか廃業する傾向も目立っているようである。
セルフ式のガソリンスタンド画像はこちら
クルマを運転していて、“買い物したいなあ”と思うと、それまでたくさんあったコンビニが見つからなくなり、“そろそろ給油したいなあ”と思うとガソリンスタンドが見当たらないというのは“ドライブあるある”として承知しているひとも多いだろう。
大昔のコマーシャルではないが、“あいてて(あって)よかった”というのがガソリンスタンドだが、今後も全体としては微減傾向が続き、山間部では最寄りにスタンドのない“給油難民”が増えていくことになるだろう。そのような状況もあり、“日本では電気で動くBEV普及は地方から”ということもよくいわれる。
廃業したガソリンスタンド画像はこちら
海外で時間があれば充電ステーションを見に行くのだが、キャッシュレスが原則ということもあり、規模に関係なく充電ステーションに特化した場所では“監視員”みたいなスタッフを置くところもあるが、ほぼ無人となっている。ショッピングモール併設という充電ステーションが日本を含めて諸外国でも多いので、このようなシチュエーションがいまのガソリンスタンドのような役目も引き継いでますます一般化していくのかなあとも考えている。