【試乗】かっこいいスライドドア軽できました! 新型ダイハツ ムーヴは「走りよし」「使い勝手よし」の「こんな軽ほしかった」なクルマだった (3/3ページ)

感動を覚えるレベルのNAモデルの進化っぷり

 NAモデルは街なかを中心とする日常使いをするのにスムースで快適。14インチタイヤを履くNAは会場からの走り出しから思いどおりの動力が得られ、同乗していた編集者と「いいね」と声が漏れてしまった。都内の大通りで周囲の速度に合わせて走るのも自然で意のままであり、その上、乗り心地と静粛性も向上している。

 快適さはそのまま首都高速に乗ってみても変わらない。ETCゲートを抜けた先の登坂路も、ふたり乗りのムーヴはトルクの物足りなさもなく本線に合流するあたりが日常の扱いやすさに力を注いだダイハツの意図が理解できるようだった。

新型ダイハツムーヴ"NAモデル"の走行シーン

 乗り心地もよく荒目の舗装路面やつなぎ目段差も丸くソフトに通過する。エンジンの加速音も遠く、ペダルや車体から伝わる振動もかなり軽減されている。おかげで全体的にマイルドな印象で、それは走行性能全体の質の高さからくるもので誰もが運転しやすく快適に過ごせる質感に仕上がっている。より背も高く走行安定性を保つ走りと街乗りを意識してセッティングされたタントに対し、車体の収束性に優れる新型ムーヴの足もとはやや引き締められているのに、だ。

 ターボモデルは15インチタイヤを履くRSグレードのみとなり、足まわりは専用チューニングが行われている。ダイハツが目指したのは「15インチタイヤを履いていることを感じさせない乗り心地」だという。高速道路の移動の多い方、多人数乗車する機会が多い方にはターボがおすすめだ。

新型ダイハツムーヴRSのタイヤ

 NAモデルと同じコースを走ったが大通りに出たあたりでやはりターボはタイヤの転がり方=軽快さが勝る。NAが堅実な走りをする一方で、ターボはスイスイ感が違う。だからといって、たとえば街なかや高速走行時の再加速でターボが介入する際に感じる嫌な過給の盛り上がりも気にならない、マナーのよさまで制御されている。

 足もとは若干引き締められている印象はあるが、快適さを損ねてはおらず、より力強い走りと直進/ランプウェイなどでのコーナーの安定感が高められている。開発者が説明するように15インチを感じさせない走りに仕上がっていた。

新型ダイハツムーヴRSの走行シーン

 ここで軽量な軽自動車の乗車人数による印象の違いについて補足をしておきたい。じつは今回、動画の撮影もしているのだが、ターボモデル“RS”の撮影時は3人乗車だった。そこで得られた印象は路面や段差に対する当たりも大きめ。初めに乗ったNAの仕上がりのよさからターボへの期待が高まるなか、その印象は少々辛口なものになってしまったのだ。しかし、どうにも腑に落ちなかった。

 改めてふたり乗車でターボ車を試乗した印象が前述の内容になる。ダイハツはふたり乗りで走行性能のセッティングを行っていることがわかった。

新型ダイハツムーヴを運転する飯田裕子さん

「車重が840〜850kgと軽量な軽自動車ではたとえば体重が60kgの乗員がひとり増えると約8%の重量増になります。普通乗用車が1200〜1300kgとすると4〜5%。ふたり乗りでセッティングを行っている軽自動車では1~2人乗りと3人乗りでは挙動に対する影響も乗用車に比べ大きくなります。ブレーキの制動も変わります」と開発責任者の方が教えてくれた。

 より多人数乗車時の快適さを求めるなら常用ミニバンを選ぶほうがよさそうだ。とはいえ、絶対に常用ミニバンを選ぶべきというほど悪いわけではない。比べてみたらわかる違いを正直にお伝えしておこうと思ったのだ。購入前にはぜひNA/ターボを乗り比べ、ご自身のカーライフにどちらが合っているかを検討することから新型ムーヴ選びを楽しんでみてほしい。

新型ダイハツムーヴの試乗会の模様


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