滑りやすい路面は腕を磨くいいチャンス
慎重にコンディションを見極めてからピットを出て、タイヤが温まるまで2~3周はウォームアップのつもりで控えめなペースで走って、水たまりがどこにあるのかなど、コースをチェック。ラインどりもドライのときのレコードラインは無視して、水気の少ないところを選んで走るのが大事。カントのついたコーナーのイン側には、水たまりでできていることが多いし、縁石の上も滑りやすいのでできるだけ乗らないようにしたい(乗っていい縁石と乗ってはいけない縁石があるが、基本的には乗らないほうがベター)。
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あとはライトオンで被視認性を高め、前後の車間距離もたっぷりとって、無理せず自分のペースで走り続けることが肝心。
ドライビングは基本に忠実に、各操作をゆっくり確実に行うこと。ブレーキとステアリングのオーバーラップは最少にして、ターンインの際は旋回制動気味にならないように気をつける。速度が低いぶん、大きな舵角を入れることが可能な場面もあるので、舵角不足による手アンダーになっていないか探りながら走ってみよう。
アクセルオンにも丁寧さが必要だ。走っていて、ABSの利きが早いなと思ったり、スタビリティ制御の介入が早い(多い)と思ったら、自分の主観と実際のタイヤのグリップ力にギャップがあると思って気をつけよう。
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このへんがグリップの限界かな、と思ったときに、ABSやESCが働くのはOKだが、「あれ、もう利き出すの?」と思うようでは、タイヤのグリップ力を過信しすぎ。期待値が高すぎるので、下方修正しておかないと、どんどんリスクが高まることになるので要注意。
また、タイヤによっては、ドライとウエットでのグリップ差が非常に大きいものもあるので、「雨だと、やけに滑る」と感じたら、数周走って早目に撤収するのが得策だ。
そして、万が一スピンをしたら、とにかくクルマが完全停止するまで、ブレーキペダルを床まで全力で踏み続けること。カウンターステアで何とかしようなどとは思わずに、ひたすらフルブレーキで停止するのを待つ。止まりかけたところ(時速1~5km程度)でブレーキをゆるめてしまうのが一番危ない。
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これだけ守っていれば、雨の滑りやすい路面は、コントロール能力を磨くいいチャンスとして使えるはず。
ただし、くれぐれも無理はしないこと。