貴重なハイブリッド車両がサーキットを駆け抜ける
古豪aprの2台目である31号車は、2022年までのプリウスから2023年にレクサスLC500hをベースとした新車両を投入。『h』はハイブリッドシステム搭載を意味しており、31号車はプリウスに続いてハイブリッド車両となる。

ロングホイールベースでダウンフォース量が多く、それでいて重量配分も優れているためタイトなサーキットでも戦える……意外にもオールラウンダーなLC500hは昨季、小高一斗、中村仁のトヨタ育成コンビで5回の入賞を記録してランキング6位を獲得した。車両としてのポテンシャルの高さもうかがえる。
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今季はドライバーラインアップが変更となり、新外国人オリバー・ラスムッセンと女性ドライバー小山美姫のコンビに。根本悠生がサードドライバーに控える。
このドライバー変更により、aprの31号車は一気に国際色豊かなチームとなった。デンマーク人のラスムッセンは英語でコミュニケーションをとるわけだが、海外経験豊富で語学堪能な根本、最近海外でレースをする機会が増えた小山がチームメイトということもあり、英語が31号車全体の公用語になりつつあるという。ただ、スタッフには英語を解する者が多くないため、ドライバー3人が英語で会話をしたあと、それをチームに通訳するという流れができつつある模様。その様はさながら海外チームといったところだ。
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これまではFIA F3やWECのハイパーカークラスなどに参戦し、今季から日本を拠点にレース活動をしているラスムッセンは、「常に落ち着いていて、なおかつ笑顔を絶やさないようにしているんだ」と本人も語るように、明るく柔和な好青年だ。
良い意味でトゲがなく、「レース活動だけでなく人生全般として、楽しくやるのが一番大事だと思っている」と語るラスムッセンだが、GT500昇格を目標に掲げるなど、野心も持ち合わせている。また、日本の文化にも積極的に溶け込もうとしており、日本語もすでにひらがなであれば多少の読み書きができるレベルになっているというから驚きだ。
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2023年にスーパーGTデビューを果たした小山は、同シリーズが全日本GT選手権から改称されて以降では唯一の日本人女性ドライバーだ。過去2年はANEST IWATA、アールキューズでスポット参戦して経験を積み、今年は満を持してのフル参戦デビューとなった。
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芯が強く、自分のなかに確固たる意思を持っている小山。本人は「そんなに強くないですよ」と笑うが、チームメイト(aprのもう1台、30号車のドライバー)の小河諒からは、金曽監督とはしょっちゅう激論になっているというタレコミも。その小河は「すごく良いことだと思います。ただ言われたことをやるだけではなく、自分の意見をちゃんと伝えるのは大事なことだと思います」と真面目に話していた。
また2年前からサードドライバーとしてチームを支える根本は、前述の通り英語力がセールスポイントのひとつと言える。
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その能力を活かして、4月のF1日本GPの際にはレッドブルのパドッククラブのスタッフを務め、レース後の優勝記念写真には角田裕毅とともに「ふたりのユウキ」が収まっていた。
