この記事をまとめると
■トラックドライバー同士の暗黙の了解である「街道仁義」が失われてきた
■オートマ免許の普及や速度抑制装置の義務化もマナーが悪くなった原因のひとつ
■プロである以上乗用車ドライバーの模範となる走りを心がけてほしい!
鼻毛を抜きながら走ったトラックドライバーの過酷な時代!
日夜、日本の物流を支えてくれている大型トラック。わたしたちの暮らしに欠かせない存在である大型トラックは、人々が寝静まる深夜の高速道路でも途切れることなく、荷物を全国各地に運び届けている。
人間の体とはよくできているもので、昼間にいくら寝だめしようとしても身体の疲労回復度は夜の睡眠と比べて半分程度だという。そんななか、深夜を駆け抜けるというハードワークに従事する大型トラックのドライバーたちを頼もしく思うのはきっと筆者だけではないだろう。
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そんな筆者も過去には大型トラックのハンドルを握り、全国各地を駆けまわっていた時期がある。子どものころからトラックが好きだったため、自ら進んでトラック業界に足を踏み入れたのだ。運ぶ荷物の種類はさまざまで、毎日異なる土地へと走ることはたしかに大変ではあったものの、いま振り返ってみるとじつに楽しかったことをよく覚えている。
とはいえ、夜の運転はやはり厳しい。とくに単調な構造の高速道路を走行していると、眠気というものは否応なしに押し寄せてくる。当時は速度抑制装置や430休憩(4時間走行するごとに30分休憩することを義務づけた規則)、さらにはETCもなく、トラックドライバーを取り巻く環境は非常に過酷だった。とはいえ、積めば積むだけ、走れば走るだけ稼げたという時代でもあった。そのため、仮眠を取る時間もないほどタイトなスケジュールがほとんどだったため、歌を歌ったり、自分をビンタしたり、下世話な話で恐縮だが鼻毛を抜きながら走っていたものである。
「街道仁義」と呼ばれるプロドライバー同士の暗黙のルール
現在では大型トラックの世界からは退いているが、仕事柄、昼夜問わず高速道路を利用することが多い。そのため、たくさんの乗用車や大型トラックと遭遇するのだが、いまでも大型トラックに対しては、トラックドライバーの間で浸透している「お気遣い」をついやってしまうことがある。ヘッドライトやウインカーなどを駆使して相手と意思疎通を図る、まさにプロドライバーならではの走り方だ。これは「街道仁義」と呼ばれるもので、当時はそんな気配りをしあいながら、お互い気もちよく走ることができていた。
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しかし、過去と比較すると、現在の運転技術やマナーの低下が気になって仕方がない。オートマ限定免許が誕生したことで一般ドライバーの質が落ちたといわれているが、それは乗用車に限らず、プロであるはずの大型トラックでも同様で、信じられないような横柄な運転をするドライバーが目立つようになってきた。もちろん、大半の大型トラックドライバーは気もちのいい運転を行っている。しかし、いくら大型トラックに寛容な筆者であっても、腹が立つほどプロ意識に欠けた運転を目にすることが増えてきたのが現実だ。