この記事をまとめると
■トラックの路上駐車は違法だが業務上やむを得ない実態がある
■路上駐車の課題を浮き彫りにした大阪・花博通の一斉取り締まり
■問題解決は駐車スペースの整備と荷主の責任ある対応と筆者は考える
トラックの路上駐車問題の実態とその背景にある構造的ジレンマ
工場や物流倉庫など、トラックの集荷先・納品先にあたる施設に近い片側2車線以上の道路では、ほぼ常態化している路上駐車が見られる。これはたしかに違法であり、警察の摘発を受ければ駐停車禁止場所では普通車(2トン・4トントラックを含む)で1万2000円、大型車で1万5000円、駐車禁止場所では普通車1万円、大型車1万2000円の反則金が課せられ、違反点数も駐停車禁止場所では2点、駐車禁止場所では1点が加算される。
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トラックを運転することが生業であるドライバーにとって、交通違反のペナルティは死活問題であり、またプロドライバーであれば決して犯してはいけないことだ。しかし、荷主の指定時間どおりに積み荷を集荷し、時間どおりにその荷物を納品先に届けるのも至上命題である。それを遂行するために、やむなく路上駐車をせざるを得ない状況になっているのが現状だ。
また、路上駐車は違法であると同時に、その道路の周辺住民にとっても迷惑行為となる。駐車時のトラックのアイドリングは住民にとって騒音であり、排気ガスは不快であるうえ健康を損なうおそれもある。また、交差点近くに駐車されたトラックはほかのドライバーの死角となり、事故を誘発することもある。もちろんトラックドライバーは、周辺に迷惑をかける行為をしたくてしているわけではない。それは彼らにとって、仕事とコンプライアンス・マナーの狭間にあるジレンマであるに違いない。
賛否両論を呼んだ大阪「花博通」の一斉取り締まり
トラックの路上駐車が長年問題化している大阪市鶴見区の幹線道路にて、2025年4月28日に大阪府警による一斉取り締まりが行われた。この道路は通称「花博通」と呼ばれる市道で、近畿道・第二京阪の門真JCTから国道479号線までをつなぐ片側2車線の道路だ。付近には住宅街や小中学校もあり、生活道路として住民にも利用されている。
こうしたアクセスのよさから、大阪府内や関西はもとより、全国各地から集まるトラックドライバーが、集荷や納品の時間までの、いわゆる「荷待ち」の間、左側車線にトラックを駐め、夜間には仮眠をとるなどして休息をとっている。そのため、周辺住民からの苦情も多く、今回の一斉取り締まりにつながったというわけだ。この取り締まりでは、「花博通」に駐車していたおよそ20台のトラックに警告が出され、4台のトラックのドライバーに違反の切符(青キップ)が交付された模様。
この大阪での一斉取り締まりが報道された後、SNSでも大きな話題となり「ドライバーだけが悪いわけではない」「取り締まりが続いたらトラックドライバーのなり手がいなくなる」「ドライバーより、その違反を強いている荷主を取り締まるべき」といった意見が散見された。