近ごろ増えているeスポーツ出身……じゃなくRCカー出身の異色ドライバーが活躍中! スーパーGTデビュー戦で表彰台に乗った奥本選手に直撃取材!! (2/3ページ)

スーパーGTやS耐へと順調にステップアップ

──で、奥本選手は2025年のスーパーGT第3戦マレーシアで、ついにスーパーGTにデビューしましたが、スバル/STIワークスとして活動するR&D SPORTの61号車「SUBARU BRZ R&D SPORT」ではなく、GOODSMILE RACING & Team UKYOの4号車「グッドスマイル初音ミクAMG」で参戦しましたよね。

奥本選手:これまで片岡(龍也)選手と谷口(信輝)選手にお世話になっていたんですけど、GOODSMILE RACINGのレギュラードライバーのおふたりがスパ24時間レースに参戦することから、スーパー耐久で一緒に戦っていた中山(友貴)選手と一緒にピンチヒッターとして参戦する機会を頂きました。このプログラムをスバル/STI、そしてGOODSMILE RACINGはヨコハマタイヤを使用しているんですけど、スバル/STIをサポートしているダンロップの両者が了承してくれたこともあって、スーパーGTのデビューを果たすことができました。

──しかも、デビュー戦にもかかわらず、いきなり3位で表彰台を獲得しましたよね。それにスーパー耐久シリーズの第3戦として開催された富士24時間レースではTKRIのCドライバーとして、23号車「TKRI松永建設AMG GT3」で初めての総合優勝を獲得しました。今年は本当に、奥本選手は活躍していますよね。

奥本選手:いろんな先輩ドライバーに教えてもらいながら、なんとか走れました。僕ひとりで速くなったわけではなく、本当にチームに支えられての結果だと思います。

──ところで、奥本選手はRCカーの腕前もかなり上手くて、世界一になったことがあるんですよね?

奥本選手:はい。小学校の5年生のときにタミヤの世界選手権で優勝しました。

──ということは、RCカーをモータースポーツに含めるなら、2021年のVITAよりRCカーのほうがキャリアは長いですよね?

 奥本選手:そうですね。広場でやるようなRCカーであれば、幼稚園のときからやっていました。その1年後にはサーキットに行って競技をやるようになっていましたので、小学5年生で世界一になったときでキャリア6年目です。その後も中学2年生までRCカーをやっていました。

──ちなみにRCカーを辞めたあとはなにか競技をやられていたんですか?

奥本選手:中学校に入学してから部活動で陸上競技をやっていたんですけど、そこから陸上が楽しいな……と思いまして。決してRCカーに飽きたわけではないんですけど、陸上を極めたいと思いまして、部活に打ち込んでいました。

──バリバリのアスリートですね。ちなみに種目はなんだったんですか?

奥本選手:400mハードルです。

──きつそうですね。ところで、RCカーをやって陸上をやっていた奥本選手がなぜ、2021年にVITAを始めたんですか?

奥本選手:きっかけは大学4年生になって就職活動を行うようになったことです。もともと小さいころからレースファンで、スーパーGTやスーパーフォーミュラが好きだったし、陸上競技をやっているときもレース観戦をしていました。それこそプロのレーシングドライバーに対する憧れをもっていた。就職を考えるようになったときにずっとそのことがモヤモヤしていたんですけど、チャレンジしないまま諦めるのも嫌だったので、両親に相談したところ、「半年だけなら面倒をみてやる」といってくれました。モータースポーツはお金がかかるし、自分の両親も一般家庭なので、半年間レースをやってダメだったら諦めよう……と思いまして、レース活動を始めることにしました。

──期間限定でチャレンジしたんですね。

奥本選手:父の知り合いのレーシングガレージに相談したら、盛り上がっているのでVITAがいいじゃないか、ということになってレンタル車両で参戦しました。当初、ガレージの社長も半年間レースをやってみて、ダメだったらちゃんと就職したほうがいい……といっていたんですけど、最終戦の鈴鹿で開催された日本一決定戦の予選でトップタイムをマークしてポールポジションを獲得することができたし、セミファイナルも優勝。そうすると社長が「お父さん、どうしますか?」といった空気になって、父も「やるしかないでしょ」といったようにみんながスイッチオンになりました。

──よかったですね。その最終戦から翌年のFIA-F4に繋がり、レースデビューからわずか4年目にして、富士24時間レースでの優勝とスーパーGTでのデビュー戦のポディウムフィニッシュに繋がっていくんですね。

奥本選手:そうです。夢と情熱、気合と根性でやってきました。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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