自動車ファン阿鼻叫喚! もはや「新エンジン」が登場する可能性は限りなく低い (2/2ページ)

エンジンの新規開発はどんどん難しくなってくる

 そこでハイブリッドが売れているわけだが、将来的には電気自動車は避けられない。そこで今後は電気自動車の国内販売が増える。直近でも、ホンダN-ONE e:、スズキ eビターラ、次期リーフが登場する予定だ。

 この状況だから、冒頭で述べたとおり、パワーユニットの開発が難しい。エンジン車/ハイブリッド車/プラグインハイブリッド車/電気自動車が混在して、海外では電気自動車の勢いが強かったのに、最近は陰りが見えている。

 しかも、クルマのエンジンは、各種のユニットやパーツのなかでも、開発コストがとくに高い。したがって、ひとつのエンジンを開発すると、10年から20年以上にわたって使うのが一般的だ。過去にはトヨタのF型6気筒ガソリンエンジンのように、40年以上にわたってさまざまな車種に搭載された長寿エンジンもあった。

 このように開発コストの高いエンジンは、長期間にわたり複数の車種に搭載され、多額の開発費用を償還する。つまり、2025年に完全な新開発エンジンがデビューしたなら、2040年ごろまでは何らかの車種に搭載を続けたいが、それまでエンジン車がどの程度存続しているかは不明だ。ホンダのように、2040年にはエンジンの生産を全廃して、電気自動車と燃料電池車に置き換える計画を立てたメーカーもあるほど。

 したがって現状では、もはやエンジンは新開発できないといっても過言ではない。とくに大排気量の多気筒エンジンは、基本的に燃料消費量が多いから、ハイブリッドに組み合わせることも困難だ。日産のフェアレディZやスカイラインに搭載されるVR30DDTT型(3リッターV6ツインターボエンジン)、レクサスLCやRC Fなどが搭載する2UR-GSE型(5リッターV8エンジン)などは、遠くない将来に廃止される。ほしいなら急いで買っておいたほうがいいだろう。

 また、今後のエンジン開発には、前述のように十分な搭載期間を設けられないリスクが伴うため、小排気量でも完全な新開発は難しい。排気量が2リッター以下の直列3気筒/4気筒エンジンを中心に、改良を続けながら搭載していくことになるはずだ。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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