なんとWRCの「ラリー・フィンランド」でトヨタがTOP5を独占!! 2位に入った勝田選手を直撃! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■7月31日〜8月3日にWRC第9戦「ラリー・フィンランド」が開催された

■トヨタが1位から5位までのリザルトを独占した

■2位を獲得した勝田貴元選手に第9戦の感想をインタビィーした

トヨタが1位から5位まで表彰台独占!

 WRC第9戦「ラリー・フィンランド」が7月31日〜8月3日、フィンランドのユバスキュラを舞台に開催。日本人ドライバーの勝田貴元選手が2位入賞を果たし、シーズン2度目のポディウムフィニッシュを達成した。

 トヨタの若手ドライバー育成プログラム「WRCチャレンジプログラム」の1期生としてフィンランドを拠点に武者修行を行ってきた勝田選手にとって、ラリー・フィンランドは第2のホームイベントと呼べるステージであり、2023年の大会で勝田選手は3位に入賞。さらにシーズン唯一のスノーイベントとして開催された第2戦「ラリー・スウェーデン」でも2位入賞を果たすなど、北欧のハイスピードラリーで素晴らしい活躍を遂げてきた。

 2025年のフィンランド大会でも勝田選手は好調で、31日のシェイクダウンではGRヤリスRally1を武器にベストタイムをマーク。同日夕刻、市街地ステージで開催されたSS1こそ勝田選手は6番手タイムをマークするに止まったが、1日のデイ2ではSS6でキャリア50回目のベストタイムをマークし、総合順位でも2番手に浮上した。

 惜しくも、その後はポジションを落としたものの、それでも勝田選手は総合4番手でデイ2をフィニッシュ。続く2日のデイ3ではライバル勢がパンクで後退するなか、2度のセカンドベストをマークするなど、順調な走りを披露して総合2番手に浮上した。

 その勢いはデイ4でも続き、勝田選手は素晴らしい走りでポジションをキープ。チームメイトであるカッレ・ロバンペラ選手に続いて2位で表彰台を獲得したほか、パワーステージで2位、スーパーサンデーで3位に食い込むなど、多くのボーナスポイントを獲得したのである。

 ちなみに3位はセバスチャン・オジエ選手、4位はエルフィン・エバンス選手、5位はサミ・パヤリ選手でトヨタ勢が1-2-3-4-5フィニッシュを達成。

 このようにラリー・フィンランドはトヨタにとっても勝田選手にとっても素晴らしい1戦となったが、そんな勝田選手がラリー終了後に、オンラインでのグループインタビューに対応。第2のホームイベント、フィンランド大会におけるポディウムフィニッシュの舞台裏を語ってくれた。

──まずはフィンランド戦の率直な感想は?

勝田選手:フィンランドはチームのホームラリーでもありますし、僕個人としてもセカンドラリーという感じなので、すごく大事なラリーでした。このフィンランドでいい結果を出すことは後半戦に向けてもそうですし、来季に向けても重要なことだったので、プレッシャーもありましたけど、そこを結果に繋げることができました。総合2位でフィニッシュすることができましたし、チームとしても1-2-3-4-5フィニッシュを達成できたので嬉しく思っています。

──それではフィンランド戦を時系列で振り返ってもらえますか?

勝田選手:第8戦のラリー・エストニア(7月17〜20日)から1週間しか時間がないなか、ラリー・フィンランドに向けたテストを行いました。トヨタには5名のドライバーがいるんですけど、僕は2日目のテストだったので、新しいクルマのセットアップなどいろんなことを試して行くなかで、方向性が見つかりました。

 その後、カッレ(ロバンペラ)、セブ(セバスチャン・オジエ)、サミ(パヤリ)とテストを重ねたことで方向性が固まって、それぞれのドライバーの好みが決まっていきました。最終的にはテストで使ったセットアップと、テストで使わなかったセットアップにわけて、シェイクダウンで、それをトライしながら微調整をしていきました。

──シェイクダウンでのフィーリングは?

勝田選手:走り始めはテストでまったく使ったことのないセットアップから始めていたんですけど、乗り味が全然違っていて、タイムこそ2番手でしたが、すごいフィーリングが悪くて、タイムがよくてもプッシュできないな……という感じでした。なので、その後はセッティングをいろいろと探りながら走っていたんですけど、3回目の走行で自分がもっとも自信がもてるセットアップに戻したところ、1番いいフィーリングが得られて、トップタイムを出すことができました。

──勝田選手は木曜日のSS1で7番手タイムでしたが、金曜日のレグ2はいかがでしたか?

勝田選手:(本格的な)ラリーが始まってからは、雨が降ったり止んだりで、とくに金曜日の午後はそんなコンディションが続いていたんですけど、どちらのコンディションでもフィーリングは悪くありませんでした。時にアンダーステアが非常に強くなってしまう傾向があったので、そういうときは無理をしないようにタイムロスを最小限に抑えていくような試みで走っていました。

 そこでのアップダウンはあったんですけど、金曜日は総合4番手でフィニッシュ。トップタイムを出せたステージもありましたし、コンマ1秒差の2番手というステージもふたつぐらいあったので、自分としては安定して高いスピードをキープできていたような感覚がありました。それでも、もう一歩、自分のなかで足りない部分、クルマのほうでもうちょっとほしい部分があったので、土曜日に試していきたいと思っていました。

──土曜日のデイ3は?

勝田選手:金曜日のフィーリングを踏まえて、もっとクルマを固めた方向に振っていきたかったんですけど、金曜日の夜に強い雨が降ったという話をウェザークルーから聞いていたので、ちょっとナーバスな状態というか、固い方向にしすぎると濡れていて泥が出ているときにグリップを得られない状況になってしまうので、消極的になってしまった。思い切った方向に振っていけず、むしろ、ちょっと柔らかくしていくような感じで行きました。その影響で土曜日の1本目はかなり乗り味が悪くてタイムロス。この日の2本目からは微調整をしながらタイムが上がっていたので、悪くはなかったんですけどね。

 当初は2番手のところに収まりながら、トップに10秒以内で着いていきたいと思っていたんですけど、このフィーリングだと難しい状況になっていました。それでもライバル勢にパンクが発生して2番手に浮上できました。岩が出ていたので、自分もリスクマネジメントを意識しながら走っていましたし、セブとエルフィンが追ってきている状況ではあったんですけど、僕の方がペース的にいいという自信もあったので、リスクがあるところはペースを落としながら走ることで、土曜日を2位で終えることができました。

──日曜日のデイ4は?

勝田選手:日曜日は初めてのフォーマットで、ひとつのステージを2回走る構成になっていました。それでも23kmのハイスピードステージだったので、少しでも躊躇すれば簡単にひっくり返ってしまう状況だったんですけど、週末を通していろんなセットアップを試したことで自分でもベストなクルマのフィーリングを得ることができていました。実際に走り始めからフィーリングは悪くなかったんですけど、あまり無理をしすぎないように1ループ目を走ったところ、トップから1,07秒落ちの4番手タイムだったので、このペースだったら、パワーステージも行けるなというようなフィーリングでした。

 それでも、いつものパワーステージのように限界のプッシュというよりかは安定させた上でプッシュするようなところを意識して走ったんですけど、タイムも悪くなかった。1カ所、大きなミスをしてタイムロスをしたんですけど、それ以外はうまくまとめることができて、パワーステージで2番手につけたほか、総合リザルトでも2位でフィニッシュすることができました。

 金曜日と土曜日によかったり、悪かったりというのはあったんですけど、日曜日に非常にいい状態でもち込むことができたので、全体としてはすごくいい流れを作ることができたと思います。それにセブやエルフィン(エバンス)など、勝てるドライバーを抑えたままフィニッシュできたことは、自信にも繋がりました。

 表彰台に登れたことがそもそも嬉しいし、トヨタの1-2-3-4-5という結果もそうですけど、個人的に仲がいいので、カッレがホームラリーで優勝したことも嬉しかった。すごくいい雰囲気で最後まで走ることができたと思っています。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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