まさかのGR SPORTも登場
そして、もともと全長3.7mというコンパクトな車体のアイゴXにハイブリッドパワートレインを納めるためにはフロントのオーバーハングを76mmほど延長する必要があった。しかし、それはアイゴXハイブリッドに、新しいフロントマスクを与えることにつながっている。
大きなアンダーグリルは上級モデルのようなイメージでエレガントさを演出。新設定されるGR SPORTはグリルの処理によりスポーティさを表現している。このフロントマスクの魅力には日本導入を期待したくなるのではないだろうか。
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17インチもしくは18インチとなるフットワークギアが生み出す佇まいも注目点だ。コンパクトカーでありながら大径ホイールが生む車格感はAセグメントを超えている。そして、大径タイヤを履かせても最小回転半径は4.7mに抑えているというのは、アイゴがシティラナバウトとして生まれてきた矜持を示している。
燃費がよくて、扱いやすく、新しい個性を持つコンパクトカーとなれば、日本でもアイゴXハイブリッドを求める声は大きくなってもおかしくないが、残念ながら日本導入は難しいだろう。
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コンパクトといっても欧州向けモデルのため全幅は1.7mを超えている。つまり、日本では3ナンバーとなってしまう。街乗りでの扱いやすさを重視してコンパクトカーを求める日本のるユーザーは3ナンバーというだけで避けてしまうだろう。
欧州仕様では4名乗車のパッケージとなっている点も日本での商品力においてはマイナスだ。4名までの乗車定員でよければ軽自動車を選ぶというのが日本の市場マインドといえるからだ。やはり、「5人以上で乗る機会があるからコンパクトカーを選ぶ」というユーザーに認められなければ、日本での展開は難しい。
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冒頭でも記したように、そもそもアイゴXは欧州市場向けに開発したAセグメントのコンパクトカーであって、日本仕様を作るつもりは毛頭ないといえる。そもそも、コンパクトカーとして商品力のある価格を考えると、一般論として欧州から輸入することはコスト的にあり得ないだろう。
ただし、アイゴXの商品企画には日本のユーザーに刺さる部分もあるとは感じる。
具体的にはアクアを選ぶような定番とは異なるトヨタ車を求めるマインドのユーザーが、アイゴXハイブリッドに興味を示すのではないだろうか。現在、ヤリスハイブリッドとアクアについてはデザインこそ差別化しているが、性能やサイズ感が似ているため、市場での棲みわけが難しい状況になっていると感じる。
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もし次期アクアをアイゴXのグローバルな姉妹車として開発すれば、Aセグメントのアクア、Bセグメントのヤリスといった具合に、ユーザーにとってもわかりやすい違いが生まれそうだ。日本のユーザーが満足できる、トヨタのAセグメント・ハイブリッドカーには十分な市場と商機がありそうだが、あなたは購入を検討するだろうか。