この記事をまとめると
■日産キャラバンの一部グレードにハイエースには未設定のACCが標準装備された
■販売台数は依然としてハイエースが優勢で耐久性や顧客基盤が強み
■運転支援の充実が業務用バンという特殊な市場で強みとして活かされるかに注目
充実装備でハイエースに対抗するキャラバン
2025年7月17日、日産自動車はキャラバンの一部仕様向上を発表した。そのなかで一部グレードに「インテリジェントクルーズコントロール(以下ACC)が標準装備されたことが話題となっている。キャラバンの最大のライバルとなるトヨタ・ハイエースには同種の機能が用意されていないことも影響しているようである。
日産キャラバンのACC動作イメージ画像はこちら
自販連(日本自動車販売協会連合会)統計によると、2024暦年締め(2024年1月から2024年12月/小型貨物のみの数字)での年間新車販売台数はキャラバンが1万6043台なのに対し、ハイエースは4万2823台販売しており、ハイエースがキャラバンより2.5倍強売れていることになっている。
キャラバンの初代は1973年にデビューし、現行モデルは5代目(車名はNV350キャラバンとなっている)となる。一方のハイエースは1967年に初代がデビューし、現行モデルは5代目となる。現行キャラバンは2012年のデビューとなり13年目、ハイエースの現行モデルは登場から21年目と、とくにハイエースはご長寿モデルとなっている。
現行トヨタ・ハイエース(初期モデル)のフロントスタイリング画像はこちら
現行キャラバンがデビューした時に、当時(現行モデル)のハイエースと比較試乗したことがある。キャラバンはハイエースを意識したのか、ドライビングポジションを高めに取り視線を高く取ることで疲労軽減をはかったようだが、ハイエースに乗り換えると、ドアを開け運転席に乗り込む動作については、その高さも含めて合理的な設計がより重視されているように感じ、筆者としては圧倒的にハイエースが優れていると感じた。
トヨタ・ハイエースの運転席画像はこちら
また、試乗時はやや風が強かったのだが、車高の違いからかハイエースのほうが高い安定性を感じた。総じてハイエースのほうが、道具としてみると手に馴染みやすい印象を受けたのだ。
またこの手のキャブオーバーバンを愛用する、つまり日々配送などの業務や、趣味のオートバイを積んでレースを転戦するようなヘビーユーザーからよく聞かれるのは、「耐久性能ではハイエースが秀でている」という話である。都市伝説でひとり歩きしているのかもしれないが、確かに現行だけではなく先代モデルも、日本で酷使されたハイエースが中古車として海外へ輸出され、アフリカなどでボロボロになりながら乗り合いバスとして活躍している映像を見かけることはある。
現行キャラバン登場時には、インテリジェントキーが上級グレードに採用されたことも話題となった。当時ハイエースには設定がなかったのだが、社用車としては合いカギを多く作って社員にもたせるという事業所もあり、当初ではやや先走った採用ではないかなど疑問の声も聞かれた(いまはハイエースも上級グレードに採用している)。