慣れ親しみも大きなファクター
■AT車に乗り換えると運転が下手になるような気がする
3ペダルMT車の運転には鍛錬が必要です。いかにスムースに、まるでAT車のような運転ができるようになるにはそれなりの経験と努力が必要です。AT車に乗り換えることも考えないことはないけれど、自分が一気に運転が下手になってしまう気がしてならない。
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さらに核心に迫ると、「ここでAT車に乗り換えたら、もう3ペダルMT車に戻れないのではないか」という怖さを本能的にわかっているのです。事実、周囲の友人・知人の多くがAT車や2ペダルMT車に乗り換えたまま、3ペダルMT車には戻ってきませんでした。自分はそうなるまい、とはいいきれないのです。
■ずっと乗ってきた愛車が3ペダルMT車だから
1台のクルマと長く付き合ってきた人にとって、人生をともに歩んできた相棒に変わる存在なんていません。それほどかけがえのない存在なのです。若いときに手に入れたクルマがたまたま3ペダルMT車だったというだけ。乗り換えるつもりも理由もない以上、不便だろうと何だろうと、変わることなくこのまま乗りつづけることになります。
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いま、GRヤリスやGR86、フェアレディZ、ロードスターなどの3ペダルMT車を所有するオーナーさん、そのまま30年乗り続けたら羨望の眼差しで見られるかも。そのときまで、部品供給が続くことを祈ります。
■クラッチペダルがないと落ち着かない
長年、3ペダルMT車に慣れ親しんだ人が車検の代車でAT車を借りてきたときに共通するコメントが「なんか落ち着かない」です。もはや習慣になっている、シフトアップ&ダウン時にクラッチペダルを踏むという行為。無意識に左足が動いてしまうけれど、そこにはなにもなく、あったとしても足踏み式のサイドブレーキくらい。「クラッチペダルがないと落ち着かない」という人種は確かに存在します。
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■AT車がいまほど普及していない時代の人にとってはMT車が基本だった
AT車のことを「ノークラ」なんて呼んでいた時代の人にとってはMT車が基本。AT車(ノークラ)は苦手という人が多かった時代が確かにありました。いまや遠くなりにけり、な昭和の時代の話です。AT車の新車販売台数が3ペダルMT車を上まわったのが1994年前後とされ、現在ではAT車が99%、MT車が1%という割合です。ちなみに、教習所でAT限定免許が解禁されたのが1991年でした。
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今回、3ペダルMT車オーナーの声を集めてみて、「俺(私)は3ペダルMT車に乗っている」という自負やプライドを少なからず感じました。
昭和から平成を経て、令和の時代にはすっかりマイノリティとなった「3ペダルMT車使い」ではありますが、だからこそ後世にこの機構の魅力を伝える伝道師として、奮起することを願うばかりです!