【試乗】日産復活の狼煙はXトレイルから! 走りの「NISMO」に大人な「AUTECH」にアウトドアな「ロッククリーク」と新グレードを引っ提げて生まれ変わった (2/2ページ)

ライフスタイルに合わせて選べる商品展開は必見

 もうひとつの目玉、オーテックスポーツスペックは、開発者によると、動力性能や4WDの制御は基本的にNISMOと共通だ。それでも前後輪の駆動力の割合は、NISMOほど後輪寄りではないという。

 サスペンションの設定は、NISMOとはショックアブソーバの減衰力とスプリングレートを変更している。タイヤサイズは20インチで共通だが、ホイールのリム幅は異なる。タイヤの銘柄は、乗り心地にも配慮したミシュラン・プライマシー4だ。NISMOとは異なる装備として、ボディ剛性を高めながら快適性を保つ、ヤマハ製のパフォーマンスダンパーも装着した。

 オーテックスポーツスペックは、これらの相乗効果で、エクストレイルのなかでは乗り心地が重厚でもっとも快適だ。峠道の曲がり方は、NISMOほど機敏ではなく穏やかだが、ステアリングホイールを回し始めたときから車両の進行方向が正確に変わる。後輪の接地性も高いため、高速道路における直進安定性も優れている。運転感覚が全般的に上質だ。

 そしてロッククリークは、野性味のある3スロットフロントグリル、ブラックのルーフレールや19インチアルミホイールにより、野性的な雰囲気を表現する。内装も防水シートなどが装着され、アウトドアでの使い勝手を向上させた。

 以上のようにエクストレイルに加わった新しいバリエーションは、各タイプとも性格が明確だ。

 オーテックスポーツスペックe-4ORCE(価格は590万1500円)は、高速道路を使った長距離ドライブに適する。NISMO e-4ORCE(541万6400円)は、カーブの多い峠道でスポーティな走りを楽しむのにピッタリだ。ロッククリーク e-4ORCE(475万6400円)は、防水シートなどの採用により、キャンプなどのアウトドアライフを楽しむ用途に向いている。

 一般的にもっとも推奨される買いグレードは、X e-4ORCE(434万9400円)だ。好みや用途に応じて豊富なグレードと仕様を選び分けたい。

 ちなみに今の日産では、トヨタ・シエンタやホンダ・フリードに相当するコンパクトミニバンがあると、国内販売台数を迅速に増やせるが、開発コストなども考えると難しい。

 そこで今後は、エクストレイルやノート&ノートオーラと同様、ひとつの車種に多彩な選択肢を用意する。注目の次期エルグランドなども同様の展開を図るだろう。そこから日産の本格的な復活が始まる。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
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13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
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