市販車をミスファイアリングシステム仕様にすることもできるが…… ミスファイアリングシステムは、スロットルを閉じたときに、エキマニ内であえて燃焼ガスを失火させ、その燃焼圧力でタービンをまわし続け、ブースト圧が落ちないように制御するもの。
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具体的には
① アクセルオフ時に1気筒分の点火時期を大きく遅角
② 上死点後に点火して、混合気が燃焼しながらエキマニへ排出。
③ 次の気筒は点火をカットして混合気をそのまま排出。
④ さらにアクセルオフ時にエアを取り込むために電子制御スロットルの開度を調整。
⑤ 混合気をエキマニ内で燃焼させる。
といった流れになる。
システムの主役はECUと電子制御スロットルなので、電子制御スロットルのターボ車なら、ECUのプログラムを書き換えることで、ミスファイアリングシステム仕様にすることは市販車でも可能だ。
ECUの書き換え 画像はこちら
ミスファイアリングシステムは文字どおり「意図的に失火状態を作る」ものなので、これが作動すると、マフラーから「パンパンパンパン」と破裂音がするのも特徴。
余談だが、「ミスファイアリングシステム」はスバルの呼称で、「アンチラグシステム」が一般的な呼び方。三菱では「2次エア供給システム」という。
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保安基準でミスファイアリングシステムを直接規制条項はないが、車検となると排ガス検査や近接排気騒音検査で引っかかる可能性は拭えない。ナンバー付きのクルマでミスファイアリングシステムの導入を望むのなら、システムのオン/オフを任意で切り替えられるスイッチをつけておいたほうが無難だ。
また、ミスファイアリングシステムは燃費の悪化、触媒など排気系にダメージを与えるなどのデメリットもある。基本的には競技車両用の技術だと考えていて間違いない。