インドネシアの公共交通「トランスジャカルタ」が一気にBEV化へ! 中華系ブランドのバスが続々投入されているがエンジン車時代に全盛だったダイムラー・ボルボ・スカニアはどうなる? (2/2ページ)

公共交通機関に用いられる車両の急速な電動化が予想される

 トランスジャカルタの運行がスタートしたタイミングでは、中国製の連節バスが中国からインドネシアへ完成車輸入され運行に使われていたのだが、陸揚げ時にすでに錆が目立っていたりしていたとの話も聞いたことがある。バスとしての基本性能というよりは、乗降ドアがバッタンバッタンと互い違いに開くなど、乗客としては見た目で劣っていくのが目立つなか、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)やボルボ、スカニアのシャシーをベースにインドネシアのボデー架装会社が製造したバス車両が急速に増えていくこととなった。

 前出の事情通は、「ICE車でも中国製車両に振りまわされたのに、また中国製車両を選択している」と不安を口にしているが、遅れて韓国ヒョンデ製シャーシをベースに現地で架装した車両も導入予定となっていると報じていた。

 今後はICE車両で目立っているダイムラー(メルセデス・ベンツ)やボルボ、スカニアがBEVでも参戦してくるかもじつに興味深いところである。

 筆者がトランスジャカルタを「乗りバス」している路線では、並行して「メトロトランス」という一般的な路線バスが運行されている。交通系ICカードを車内でタップして乗るという日本でもお馴染みの乗車方法となっている。こちらは2024年まではダイムラー(メルセデスベンツ)シャシーベースのICE車両以外にBYDなど中国系BEV車両も運行されていたのだが、2025年にはスカニア製ICE車両しかお目にかかることができなかった。

 BEV車両の使用をやめたというわけではなく、充電を行う車庫と運行する路線が離れており、BEV車両の運行路線を変更していたようである。走行していたスカニアの車両には「100%プラスチックの原料として使用される化学物質を使っていない」というステッカーがボディサイドに貼られていた。

 タクシーも最大手の事業者が試験的なBEV車両導入を進めるなか、ベトナムのビンファストがグループのタクシー事業者とともに自社BEVをタクシー車両として引っさげ、ジャカルタでいきなりタクシー市場自体に大規模参入してきており、まさに風雲急を告げる状態でBEVが普及しそうな状況となっている。今後の動きはかなり気になるところだ。

 ジャカルタ市内の大気汚染は深刻で、街がスモッグで包まれる日も滞在中にあり、朝などは霧かと思うほどだった。大気汚染指数も筆者の居住地の8倍以上の数値を示していた。

 ICE中心に自家用車が増え続けるなか、路線バスをまず100%電動化させようとしており、タクシーもなにやら電動化が今後急速に進みそうな雰囲気になってきた。

「ユーロ2仕様」などと誇らしげにボディにステッカーが貼られている低年式トラックがまだまだ街を走る現状では、公共輸送機関のゼロエミッション化においてまず取り急ぎ全車両電動化させたいというのは行政当局からすれば当然の流れのように見える。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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