この記事をまとめると
■2026年をもってシビックタイプRが欧州市場から撤退する
■ユーロ7規制や高関税・高税率が採算を圧迫し日本車スポーツカーの存続を困難にした
■一方で2026年春には新型プレリュードが欧州投入予定でハイブリッドで市場開拓を狙う
厳しい排ガス規制の前にやむなく消滅
スバルのSTIモデルやトヨタGR86、スズキ・スイフトスポーツ、日産GT-Rらに続き、ホンダ・シビックタイプRも2026年にヨーロッパの市場から姿を消すことがわかった。
ドイツの市場で28年もの間、ホンダを代表するスポーツカーのひとつとして一定のファンを魅了し続けていたシビックタイプR。2026年でヨーロッパでの販売終了を記念して、ホンダはヨーロッパ市場向けにシビックタイプRの「アルティメットエディション」を発売し、これをもってヨーロッパ最終モデルとするようだ。
さまざまな最高級装備を備えた「アルティメットエディション」は、40台限定で販売される予定だが、現時点での価格は未発表というものの、現在発売中のシビックタイプRよりも大幅に価格が上乗せとなる可能性があるとのことだ(シビックタイプRのベーシックモデルの車両基本価格5万8900ユーロ〜。日本円で約1012万6250円!)。
ホンダ・シビックタイプRに設定される『アルティメットエディション』画像はこちら
ヨーロッパでも人気の高い日本の誇る数あるスポーツカーがヨーロッパから次々と姿を消す理由のひとつには、EUの厳しい排ガス規制があるようだ。
当初、2025年に導入予定だったが、2028年1月に先送りとなったものの、排ガス規制のなかには亜酸化窒素の排出や、はたまた排ガス以外にもブレーキからの粒子状物質とタイヤからのマイクロプラスチック排出を規制する燃料規制も厳格化されるユーロ7。この規制はガソリン車やディーゼル車だけではなく、電気自動車にも適用されるとあり、それらの対応の厳しさや費用に物議がもたれている。
昨今のヨーロッパでのSUVブームが続くなかで、スポーツカーはそれらに対して販売台数は決して多くはない。その上、高い関税や輸送費等で、ドイツやEU各国での販売価格は日本での販売価格と比べると相当な高額になり、日本の消費税にあたる付加価値税はEU各国は20%(ドイツは19%)前後ということもあり、車両本体価格は日本の倍近くとなるだけに、日本での普通車はヨーロッパではある意味高級車の粋にも入るほどの高額になってしまうのは悩ましいところだ。
輸出される日本車画像はこちら
日本と同様にドイツでも自動車産業は自国の経済を担う大きな要であり、自国の製品を守る必要があるために外国車である日本車に対して高い関税が課されるのは承知の上だが、その上にユーロ7に適合するための高額な設備投資や研究・開発、および検査費用を捻出することで追い打ちをかけるかのように厳しい状況下に置かれてしまう。次々とスポーツモデルがヨーロッパの市場から消えて行くのには納得せざるを得ないのだが、なんともいえない残念さに言葉もない。