パンチのないEV界に強烈な一撃! 伝説の名前を冠したメルセデス「ヴィジョンEQシルバーアロー」のインパクトがヤバい (2/2ページ)

これまでにないEVの可能性を提示した

 低く長いボディに対し、そびえるようなタイヤはフロント255/25R24、リヤ305/25R26というレーシングサイズ。コンセプトカーらしく、スリーポインテッドスターが刻み込まれたタイヤはピレリ製とされています。1本あたり168本のスポークをもつホイールは半ばカバーで覆われ、これもまたシルバーアローの一族であるW196 ストリームラインへのオマージュに違いありません。そして、W196は空力技術を駆使することで栄光を収めたとされていますが、ヴィジョンEQシルバーアローでは可変式リヤウイングがあたかもW196のエアブレーキかのように車体を安定させるとのこと。

 そんなレーシングテイストはコクピットに据えられたパノラマスクリーンにも現れています。なんと、AIによって、かつてのシルバーアローレーシングカーや現在のレーシングカーとの仮想レースに参戦できるのです。しかも、バーチャルレースコーチアシスタント機能を使えば、ドライビングスキルの向上も可能。これには、歴代シルバーアローのドライバー達もビックリすること間違いなし(笑)。

 さらに、EVスポーツカーでは指摘されがちなエキゾーストサウンドも最新のF1やAMGのV8がプログラムされており、迫力のドライブフィールまで得られるのです。

 コンセプトEVとしてのテクニカルトピックも抜かりなく、インフラとのコネクト技術を搭載し、コクピットのスクリーンと連携。車両周囲の映像を3Dで表示するほか、誘導充電が可能な道路の車線を表示するなど、将来的なEVの可能性を大いに広げてみせました。

 残念ながらメルセデスEQからスポーツモデルはリリースされていないものの、EVのワクワクするような可能性を知らしめてくれたという点でEQシルバーアローは大きな爪痕を残したといえるでしょう。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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