モータースポーツで鍛えられた機能はいずれ市販車に反映されるはず
3)「アンチラグ制御」
アクセルオフ時の過給圧低下を抑制するもの。アクセルを少しでも戻すと、ターボの過給圧をコントロールしている「ブゥ〜(擬音が稚拙ですまん)」の抵抗音。アクセルオフから再び全開まで踏み込んだ瞬間のレスポンスが劇的に速い!
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4)「トルクリザーブ制御」
アクセル一定から踏み込んだ際の過給圧の低下を抑制する、ということからアンチラグ制御に酷似するが、こちらはスイッチでON/OFFが可能。
5「FCY(フルコースイエロー)制御」
コース上で追い越し禁止になり、50km/hに設定した速度に自動制限される。このFCYが解除された再スタート時も、スタートダッシュを必要とするため、エンジンのトルクレスポンスをさらに引き上げて待機するモード。
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6)「駆動系制御」
AWDの前後駆動配分はセンターデフにより34対66とリヤ寄りから50対50まで状況に応じて可変。個人的にとくに興味深いe-LSD、電子制御リヤLSDは、減速側と加速側でそれぞれ5段階に調整機能がある。コーナー進入時は後輪左右の回転差を出しやすいよう減速側を1〜2、立ち上がり加速は左右の回転差を制限するため2〜3という使い方。F1にも使われているし、FWDに組まれればコーナー進入時、旋回初期の姿勢を早く変えられ、立ち上がりでは空転もせず駆動力をダイレクトに伝える大きな武器になる。
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AWDのコーナリングにも絶大な効果を発揮するはずで、やはりプロドライバー軍団は減速側の番程を1に落としてフリーに近くして姿勢変化を起こすことを好み、スバル開発ドライバー陣は変化の激しい挙動は作らないよう番程を2にするなど、ロータリースイッチで各人の好みを容易に作れる点はじつにいい。e-LSDの制御効能は話として理解できるが、実際に試せなかったことが残念無念である。
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ハイパフォXのエンジンの回転上限は6000rpmとやや低いため、各ギヤは意外に予想以上に早く吹け切りシフト操作は忙しい。メーター読みで1速55km/h、2速88km/h、3速/130km/h、4速170km/h、5速215km/h、6速240km/hほどでバンクに突入。6000rpmの回転リミットは全域トルクの塊を感じさせる。紹介した各種制御はともかく、レスポンシブにクルマを反応させ、走らせてくれる。
ボディ補強や剛性の高め方、「高ければいいってもんじゃない」強度や剛性も開発陣は一家言ある。それがロードカーにどう反映されるのか? S耐参戦により、航空機部門は再生カーボンファイバーを使ったエアロ類で協力を仰ぎ、トレッド拡大に際してのフェンダーエクステンションは、やはり違う部署が叩き出しの職人芸でオーバーフェンダーを完成させるなど、なるほどクルマ愛を感じさせるメーカーならでは。
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ハイパフォXで培った機能や造形をレースカーだけに留めておくのは虚しい。クルマとしての性能、安全性を高めるチューンのパーツとしてももちろん重要だし、コンプリートカーに落とし込むこともメーカーとしては重要だ。ラリー、レース好きのスバリストは、何よりも強いスバルを待ち望んでいるのだから。
追伸、スバル・スーパー耐久参戦チーム様、シーズンオフにサーキットでの試乗もお願い致します。