日産に70年以上続く伝統を受け継ぐ
●日本家屋をイメージしたインテリア
──次にリヤパネルですが、テールランプ内部の形状以外にはとくに「かどまる四角」のモチーフは見られませんね
「はい、ここは過度にモチーフを多用するのではなく、テールランプに目を向かせることを意識しています。また、じつはリヤガラス自体が「かどまる四角」でもあるので、粗密というか、ほかはあえてスッキリさせているんです。ちなみにこれは余談ですが、じつはリヤハッチを開けるとドアの両端の打刻部分の形状が隠れた『かどまる四角』になっているので、今度確認してみてください(笑)」
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──続いて、インテリアは「Breeze(そよ風)」がコンセプトですが、そのなかにある「縁側」というキーワードには具体的にどんな意図があるのでしょう?
「日本家屋の縁側のように外からの風を感じるよう内外をあえて曖昧とし、同時に広さも感じさせたい。今回、障子を意図したフレームをルーフまで1周させたのですが、かなりチャレンジングだったものの、評判がいいんですよ」
──内装色の「チャコールグレー」では、インパネやシートの濃いブラウンが非常に印象的ですが、どんな狙いがありますか?
「ビターなイメージとして、大人の志向というか、年輩のユーザーさんのニーズに応えたカラーですね。一般的に軽自動車ではブラックの内装が定番ですが、今回は女性ユーザーを中心に考え、思い切ってブラックを設定しなかったんです。ここでも従来の固定観念を取り払いたかったのと、じつはオーテックバージョンでブラックが選べるので……(笑)」
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──次にボディカラーについて伺います。話題のプレミアムツートンですが、少ない設定のなかで「シルキーライラック×スターリングシルバー」という思い切った色を使ったのはなぜでしょう?
「いい質問ですね(笑)。じつは社内でも喧々囂々(けんけんごうごう)だったところです。今回は工場の塗装能力の都合もあり、プレミアムツートンは3種類の設定です。そこで当初は通常のツートンで使っている「セラドングリーン」や「セトブルー」も検討したのですが、やはり女性のユーザーを意識して、最終的にシルキーライラックを残しました」
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──では最後に。今回はVモーショングリルを始め最近の日産車とイメージを大きく変えたスタイリングとなりましたが、その点今後の日産デザインはどう進化するのでしょうか?
「先ほども触れましたが、日産デザインはもともと自由でユニークな考えをもっていて、それぞれのプロダクトを引き立てることが目的なんですね。たとえば、『日産』というメーカー名より『スカイライン』や『フェアレディZ』など車種名で語られることが多いのもそのためです。少々古い話ですが、初代ブルーバードなどを手掛けた佐藤章蔵が、1954年に初めてデザイン部署を立ち上げた時点で、すでに日本の美意識を掲げ、そのひとつの在り方として「簡潔」を掲げていたんですね。これが現在まで受け継がれているのですが、そうした確固たるバックグラウンドを構えつつ、モデルによってプロダクトを引き立てるのが日産デザインだということです」
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──1950年代ですでに日本の文化的価値が語られていたとは驚きですね。本日はありがとうございました。