この記事をまとめると
■エンジンオイルにはガソリンエンジン専用オイルとディーゼルエンジン専用と兼用がある
■ガソリンエンジンは油膜保持能力や応力分散能力に重きを置いている
■ディーゼルエンジン用オイルには清浄分散剤が多めに加えられている
ディーゼル用オイルとガソリン用オイルって何が違う?
エンジンオイルの種類というと、化学合成油、鉱物油、部分合成油といったベースオイルの違いを思い浮かべるかもしれないが、じつは用途別にも違いがある。
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あまり知られていないかもしれないが、エンジンオイルにはガソリンエンジン専用オイルとディーゼルエンジン専用オイル、そしてガソリンとディーゼル兼用のユニバーサルオイルの3種類があるのだ。
見わけ方は簡単で、オイルの容器に記されている、エンジンオイルの品質を分類した国際的な規格、API規格の表示が、「SL/CF」などと表記されているのは、ユニバーサルオイル。もう少し詳しく説明すると、「SL」「SM」「SN」「SP」などの「S」は、ガソリンエンジン用の意味で、「CF」の「C」はディーゼル用の意味。
欧州自動車工業会のACEA規格では「A3」などの「A」がガソリン用、「B3」などの「B」がディーゼル用(乗用車など軽負荷用)で、APIなら「S」と「C」、ACEAなら「A」と「B」が併記されていれば、ユニバーサルオイルだと思えばいい。
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もっとも、近年ディーゼルエンジン用のオイルは、JASO(日本自動車標準協会)規格が主流になってきていて、クリーンディーゼルエンジン車でDPF装置が付いている車種は、DL-1規格(乗用車用)やDH-2規格(トラック・バス用)のオイルを使用する必要がある。
そして、ガソリン用オイルとディーゼル用オイルとの違いだが、ガソリンエンジンはディーゼルエンジンより高回転までまわるので、油膜保持能力や応力分散能力に重きを置いている。
一方、ディーゼルエンジン用オイルは、燃料の軽油に硫黄分が多く含まれていて、燃焼時に有害な「硫黄酸化物」 を生成してしまう。この酸化化合物を中和させるために、ディーゼル用のオイルにはアルカリ成分の添加剤、いわゆる清浄分散剤が多めに加えられているのが大きな特徴。
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また、クリーンディーゼル車で、DPF(ディーゼル微粒子フィルター)を装着しているクルマでは、エンジンオイルに含まれるPM2.5などの微粒子の元となる物質も減らし、DPFの目詰まり寿命を向上させる、DL-1規格やDH-2規格のオイルを使用する必要があるので要注意。
というわけで、大雑把にいえば、ディーゼルエンジン用オイルは、ガソリンエンジンにも使えないことはないが、ガソリンエンジン用オイルでは清浄分散性能が不足するため、ディーゼルエンジンには使えないと思っていい。
もちろん、ユニバーサルオイルならどちらのエンジンにも使用できるが、せっかくなら専用オイルを使いたいところ。というのも、昨今のエンジンオイルには省燃費性などの環境性能をはじめ、耐摩耗性や洗浄性などあらゆる性能がハイレベルで要求されているので、専用オイルを使用しないと、クルマ本来の性能を発揮できないし、パーツの寿命を縮めることにもなりかねないからだ。
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したがって、いまどきのクルマに関しては、値段やブランドだけでエンジンオイルを選ばずに、自動車メーカーから指定されているエンジンオイル(グレード)を、指定の距離(時期)を守って交換するようにしよう。