もしも市販されていたら峠の風景が変わった!? これぞGRが詰まった幻のFRホットハッチ「GRMN FRホットハッチコンセプト」が超絶ほしい! (2/2ページ)

パワートレインはまさかのSUVから流用

 見慣れないエンジン型式かもしれないが、3SZ-VE型はごく最近までトヨタ・タウンエースに使われていた縦置きに対応した4気筒ユニット。ただし、最高出力などの数値から判断すると、FRホットハッチにはトヨタ・ラッシュ/ダイハツ・ビーゴのパワートレインがスワップされたと認識するのが妥当だ。

 エンジン縦置きレイアウトのコンパクトSUVとして2006年に誕生したラッシュ/ビーゴにはFR仕様とデフロック付き4WDと、2タイプの駆動方式がラインアップされていた。

 自動車メディアやマニアからは、ラッシュ/ビーゴのFR仕様にスポーツドライビングの可能性を指摘する声もあったが、残念ながら5速MTが用意されるのは4WDのみで、FRは4速ATしか設定されていなかった。また、1100㎏を超える車重も最高出力109馬力のエンジン性能からすると、軽快に走らせるにはネックになるというのが当時の評価だったと記憶している。

 おそらく、そうしたFRスポーツとしてのネガ要素は「中の人」であれば十分に認識していただろう。カタログスペックで800kg台と軽量なアイゴのボディに、ラッシュ/ビーゴのパワートレインを移植すれば、すべてのネガを排した、GRMNを冠するにふさわしいFRホットハッチが生まれると考えたであろうことは想像にたやすい。FRホットハッチのフロントドアを見ると、ウインドウの開閉が手動式となっているのも軽さにこだわったことを感じさせる。

 エンジン、トランスミッションだけでなく、駆動系のすべてをラッシュ/ビーゴから流用していたとすれば、リヤサスペンションはホーシングタイプの5リンクリジッドになっていただろう。トラクションを稼ぐという点では不利なリジッド式サスペンションだが、生粋のドリフトマシンとして知られるAE86(レビン/トレノ)はリジッドサスペンションだった。つまり、比較的安全な速度域でドリフト的な走行を楽しめるサスペンションという評価もできる。

 もし、GRMN FRホットハッチが量産までこぎつけていたならば、どんな世界になっていたろうか。リーズナブルな価格で販売されていれば、多くのドライバーがリヤ駆動ならではの「アクセルで姿勢をコントロールする」という楽しみを肌で感じる機会は増えただろうし、それはZ世代のドライビングスタイルやクルマの好みを大きく変えていたかもしれない。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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