広告戦略がとにかくスゴい! だから、バブル期の自動車メーカーのCMにはハリウッドスターも続々登場。2代目ホンダ・インテグラ(1989~)のバック・トゥ・ザ・フューチャーでお馴染みのマイケル・J・フォックス「カッコインテグラ」、5代目トヨタ・セリカ(1989~)のエディ・マーフィー、初代(1989~)、2代目(1993~)のスバル・レガシィのブルース・ウィリス、そして、2代目ホンダ・レジェンド(1992~)でもハリソン・フォードが出演。ある意味、自動車メーカーがTVCMにもっともお金をかけられた黄金時代といっていいだろう。
5代目日産シルビア(1988~)のART FORCE SILVIAのコピー、砂浜を走るシルビアの姿とともに印象的だった挿入曲は、松任谷由実さんの曲作りに影響を与えたというプロコルハルムの名曲「青い影」。その選曲センスもこの時代ならではだろう。
5代目日産シルビアのフロントスタイリング 画像はこちら
余談ながら、ボクが通っているユーミンの苗場コンサート「SURF & SNOW in naeba」には1986年から三菱自動車が協賛。コンサート会場のブリザディウム前に三菱自動車の最新のクルマのユーミンオリジナルのラッピングカーが展示されたり、三菱のクルマを使った雪上ドライビングレッスンも行われていたのだ。当然、協賛予算は大きかったに違いない。
ラッピングされた三菱i-MiEV 画像はこちら
バブル期は映画、TV番組にも自動車メーカーの影響力が及んだ時代だ。TVでは、筆者も見ていた企画原案:ホイチョイ・プロダクションズ、脚本:小山薫堂、出演:西岡徳馬他の「上品ドライバー」が1990年代にフジテレビの深夜帯で放送。なんと太っ腹に日産1社提供で、出演者は西岡徳馬さんが上品ドライバー、ブレーキランプ研究家というように、各部門の研究家という設定。
もちろん登場するクルマはほとんどが日産車。ユニークなのは、番組中、突然、「ここからCMです」と日産のCMを番組のノリで劇中CMとして流したことだった。この番組は、そうしたバブルの勢いで番組→CMを遊び心でつないだ火付け役でもあったのだ。もちろん相当額のお金を払ったことになる。
映画では、1987年11月21日公開のホイチョイ・プロダクションズ原作、原田知世主演の映画「私をスキーに連れてって」では4代目トヨタ・セリカのフルタイム4WDモデル、GT-FOURが大活躍。スキーリゾートのエクスプレス、デートカーとしてセリカ人気を爆発的に高めた1台としても有名だ。
4代目トヨタ・セリカのフロントスタイリング 画像はこちら
というようにバブル期は、バブルの泡に呑み込まれた自動車ユーザーだけでなく、自動車メーカーもまた、シャンパンの泡のようなバブルの泡のうまみを目いっぱい味わったことになる。もっとも、シャンパンの泡と同じように、瞬く間に消えていくものなんですけどね。それが、1990年の株価暴落、湾岸戦争が引き金になった1990年代初頭のバブル崩壊である。