1レースで天国も地獄も味わった! スーパーGT第6戦SUGOを攻めの姿勢で走り切ったスバル BRZ GT300の戦い (2/3ページ)

まさかのQ1落ちにショックを隠しきれない

 午後から予選のQ1が始まります。GT300はシリーズランキング順にA組・B組と別れてアタックを行い、井口はB組でアタックを始めます。コーナーでのキレがなくタイムが伸びずアタックを数周を行いますが、Q1のB組12位でQ1敗退となります。

 2023年第2戦富士スピードウェイ以来となるQ1予選落ちとなり、ドライバーの井口はもちろんチームもショックを隠せません。

 言葉にはしませんでしたが、井口はQ2に駒を進めて、山内にポールポジション記録を取ってもらいたいと思っていたに違いありません。Q1で敗退してしまうと、Q2で上位に行くことはもちろん、山内がポールを取るためのアタックすらできません。その悔しさがピットに戻った井口の背中から感じられました。

 その日の夕方から夜まで、ドライバー・エンジニア・メカニック・ダンロップタイヤの担当者を含めて実際にタイヤ、マシンを観察しながらの長いミーティングが行われました。

 もち込めるタイヤの本数は決まっており、どのタイヤをもち込むのかサーキットに来るまでに決めなくてはなりません。そのため、手もちのタイヤで決勝をどのように進めるのか、どのようなマシンセットアップがいいのか、チーム一丸となって模索していました。

 そして予報通り、秋晴れとなった決勝日。20分間のウォームアップ走行でセットアップの最後の確認、タイヤの確認を行っていきます。

 SUPER GTでは各地の警察と協力し、交通事故防止などの啓発活動のため白バイやパトカーの先導でのパレードラップを行います。その後、セーフティカー先導でのフォーメーションラップを行い、いよいよレースがスタートします。

 予選23位という後方からの追い上げを迫られたことで、チームは思い切った作戦を実行します。BRZ GT300はこのフォーメーションラップ中にピットに戻り、今回もち込んだ新しいタイヤを装着してレースを追い上げる作戦を取ることにしました。

 チームは今シーズン実績を残しているタイヤと、ダンロップが新たに作り上げたタイヤをもってきており、練習走行や予選は実績あるタイヤで走行を行っていました。

 しかし、今回はその組み合わせではタイムが出ていないため、思い切って新しいタイヤでアタックしていくことにしたのです。

 この作戦が功を奏したのか、スタートを担当した山内は最後方から周回ごとに順位を上げ、山内劇場とも言える華麗な追い抜きを見せてファンを沸かせます。

 気がつけば30周を過ぎたときにはトップ10入りを果たし、ライバルがピットインするタイミングの42周目でなんとトップに躍り出ます。それだけマシンのセットアップもよく、タイヤとのマッチングがいいことが証明されていきます。これが予選で発揮されればと思いましたが、タイヤの本数制限もあり、何セットの新タイヤがあったのかは不明ですし、実績があるタイヤを選択するのはこれまでの経験上仕方ないことでしょう。

 そろそろ井口にドライバー交代しようと準備をしていた段階で、コース上で複数台が絡む大きなクラッシュが発生してしまいます。赤旗中断となりレースはストップ。車両回収やコース修復のため1時間ほどレースが中断してしまいます。


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