この記事をまとめると
■電動化100%を掲げるボルボはEX30を先鋒とし多彩なグレード展開を行う
■最上位トリム「ウルトラ・ツイン」は428馬力でボルボ史上最速の加速性能を見せる
■内装や素材選びには環境思想が息づき再生資源を活かしたデザインとなる
スーパーカー顔負けの加速力を誇る電動コンパクトSUV
EVをめぐる世界の空気は、いまや凪とも荒波ともいい難い。数年前までの熱狂は、カーボンニュートラルという錦の御旗のもと、盲目的な信仰にも似ていた。だが、冷静さを取り戻した市場は、現実的なインフラやコストの壁を直視しはじめている。浮沈を繰り返す潮のように、電動化は行きつ戻りつを続けているのだ。
そんななかでボルボは、早々に「電動化100%」を宣言した数少ないメーカーだ。退路を断つ潔さは、北欧らしいストイックさにも映る。そして、その象徴たる急先鋒がEX30である。
ボルボEX30のフロントスタイリング画像はこちら
EX30はコンパクトSUVに分類される。しかし、単なる「小型化の戦略商品」ではない。昨年登場した「プラス・シングルモーター」に続き、今回は全5グレードへ拡充。その最上位に座するのが「ウルトラ・ツイン」だ。名前からして筋肉質である。
搭載される前後2基のモーターは合計428馬力を叩き出し、最大トルクは543Nm。0-100km/h加速はわずか3.6秒。これはボルボの市販車史上、最速の記録だという。北欧家具のように穏やかな佇まいからは想像できない、獰猛な狼の牙を秘めているのだ。
ボルボEX30のツインモーターを示すエンブレム画像はこちら
アクセルペダルに足をかけると、車体は電光石火のごとく飛び出す。頭がヘッドレストへ叩きつけられる。脳髄がわずかに後方へズレる感覚すら覚えた。
だが驚くべきは、アクセルペダルを床まで踏み込まない限りその獰猛さは影をひそめることだ。踏めば狼、緩めれば羊。日常的にはジェントルなのだ。