いよいよ実際にリーチフォークを運転してみる
まずは実際にリーチフォークの移動から始めるのだが、安全のために亀さんスイッチを押して、スピードが出ないようにしてもらった。これで、初めての運転でも少しは安心だ。
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次に、実際に前進と後進を練習したあとで、リーチフォークの向きを変えてみたが、思った以上に小まわりが利く。おまけに、後輪から動き始める感覚にはなかなか慣れなかった。このときに普通のクルマと違う点がいくつかあった。
まずは、前後の距離感だ。リーチフォークの場合、運転手から見て後部には何もないので障害物との距離を気にすることは少ない。しかし、前部にある長いツメを意識しないと、見えない部分の荷物を吹っ飛ばす可能性がある。たとえるなら、いわゆる出っ歯の族車を運転しているといえば伝わるだろうか。
さらに、ハンドルを右にめいっぱい切った状態で前進レバーを操作したとき、自分が思っているよりも速い速度で動き始めてしまったのだが、このときにデッドマンブレーキから足を離す余裕は1ミリもなかった。
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そして、いよいよツメの操作だ。今回指導していただいたベテランフォークマンがリーチフォークを華麗に操る姿は幾度となく見てきたが、見るとやるとでは大違いだと痛感させられた。なにしろツメの上下動に加え、チルト、リーチフォーク特有のツメが前にせり出す機構、おまけにツメの幅を変えられる高性能マシンを、いきなり扱えるわけもなく……。
「はい、ツメを上に動かす」「はい!」
ツメは上ではなく前にせり出した。
「今度は下ろす」「はい!」
ツメはチルトで傾いた。
「じゃあ、ちょっと前に出してみようか」「はい!」
ツメが右側に移動した。
不器用かっ! いやそうじゃない、5本もレバーが並んでいるのが悪いのだ。
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こうして、30分ほどレバーとツメの動きに悪戦苦闘した結果、なんとか各レバーの役割を理解できた。そして、最後のほうでは一番左、一番長いレバーがツメの上下動をコントロールするのだと覚えられたのは収穫だった。こうして実際に経験すると、前進後進はもちろん、フォークの上げ下げ、チルト、方向転換などの操作を淀みなく同時にこなす、プロオペレーターの技術がどれほどすごいか実感できるというものだ。
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ここまでしてようやく、リーチフォークの基本的な使い方を経験した筆者だったが、なにかひとつ動作を行うたびに指差し確認しなければいけないので、実務に使えるレベルには程遠いのだった。まだまだ、荷役作業までの道のりは遠い。
最後に、なぜ未経験なのに操作が難しいリーチフォークからスタートしたのかといえば、カウンター式フォークリフトが最大荷重1.5トンだからだ。繰り返すが、特別教育を受けても運転できるのは1トン未満のフォークリフトのみだ。リーチフォークから降りて一息ついていた筆者に、ベテランオペレーターから「試しに何か運んでみますか?」という魅力的な提案が!
さて、次回は無事にフォークでモノが運べるのでしょうか。
取材・撮影協力
株式会社ロジ・テック トーシン
https://www.to-sin.com/