この記事をまとめると
■アメリカで実施されていた最大112万円の税額控除制度が2025年9月末で終了した
■EVであればカープールレーンの単独乗車通行を許可していた制度も2025年10月1日に終了した
■EVシフトは政治に翻弄される日々がしばらく続くことになりそうだ
アメリカのEV優遇制度が続々廃止
アメリカでは2023年販売分から実施していた、BEV(バッテリー電気自動車)を購入すると(対象車種に限る)最大7500ドル(約112万円)の税額控除が受けられる制度が2025年9月30日で終了となった。
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現アメリカ合衆国大統領であるドナルド・トランプ氏は、大統領選挙のときからBEVについては厳しい姿勢を見せており、公約にも前述した税額控除を終了させると明言していた。トランプ大統領は自身の公約を実行したに過ぎないのだが、アメリカ国内におけるBEV普及には大きなブレーキがかかることになるだろう。
「税額控除制度があるうちに……」とばかり、2025年8月あたりからBEVに興味があり購入を検討していたひとたちの駆け込み需要が顕著となり、税額控除終了月となる9月になるとさらに先鋭化していったようである。
カリフォルニア州はアメリカ国内のなかでも突出してBEVが普及している州となる。州の面積のかなりを砂漠が占め、その砂漠に続々とメガソーラー(太陽光発電所)やメガ風力発電所を作っていることもあり、州内の電力はほぼすべて再生可能エネルギーにて賄っており(朝夕などのみ化石燃料発電所を稼働させているとの話もある)、そのような環境整備も整っているだけではなく、カリフォルニア州は民主党支持者の多いブルーステートと呼ばれる州でもあり、環境問題に強い興味を持つひとたちがBEVに熱い視線を送っているようである。
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それでもカリフォルニア州におけるBEV普及率は2割を超えた程度となっており、ここのところはガソリンの高値安定も手伝い、HEV(ハイブリッド車)が急速に注目され売れている。そんな現状で駆け込み需要が起きたのだから、新車販売現場では、2025年10月以降の行く末を不安視する声も多い。とりあえず2025年10月はBEV販売台数が急激に落ち込むことは覚悟しているようであった。
カリフォルニア州は依然として2035年にZEV(ゼロエミッション車/BEVのほかFCEVなど含む)以外の新車販売を禁止することを掲げている。そうはいっても、すでに税額控除というインセンティブは終了しており、同クラスと想定できるICE(内燃機関)車より高い車両価格を補う税額控除のような購入補助金などのインセンティブなくしては、世界的にBEVの普及はなかなか望めないのも現実だ。州政府がいくら「BEVを買え」といっても、金もちの戯言で片付けられてしまいそうな様相も呈してきている。