テスタロッサにルッソ……「昔の名前で出ています」 フェラーリは昔のネーミングを復活させるのが大好きだった (2/2ページ)

フェラーリが作る高級グランツーリスモ

 2002年に発表された「575Mマラネロ」のオープン仕様として、2005年に559台が限定販売された「スーパーアメリカ」の名も、そもそもはフェラーリが1950年代から1960年代にかけて生産していた高性能でかつ高級なGTに与えられていたネーミングだった。

 1962年にはこのGTシリーズの下に「250GT ベルリネッタ・ルッソ」が誕生するが、高級を意味するルッソという言葉が、2016年にそれまでの「FF」の後継車となる「GTC4 ルッソ」に受け継がれたのは記憶に新しいところだろう。

 2008年に誕生した2+2クーペカブリオレに与えられた「カリフォルニア」という車名も、フェラーリのファンには特別な響きをもって迎えられたに違いない。1957年に登場した「250GTカリフォルニア」や、1966年デビューの「365カリフォルニア」など、フェラーリが生み出すオープンカーはどれも流麗なものばかりだったのだから。

 話を前で触れたスーパーアメリカのラインに戻そう。それまでの「400スーパーアメリカ」は、さらに高性能なGTを求めるカスタマーのために1964年に「500スーパーファスト」へと進化を遂げることになるのだが、フェラーリはこのスーパーファストのネーミングも、2017年に12気筒モデルの「812スーパーファスト」でリバイバルしている。

 ちなみにその前身となる「F12ベルリネッタ」では、かつて1956年から1959年まで生産された「250GT」に与えられた愛称、「TdF」(ツール・ド・フランス)を掲げた799台の高性能仕様が限定販売された。

 フェラーリが自らの歴史を讃え、過去のモデルをモチーフとした刺激的な限定車を、特別なカスタマーのために販売するICONA(イーコナ)シリーズからは、すでに「モンツァSP1」、「モンツァSP2」、「デイトナSP3」の3モデルが登場しているが、モンツァの名は1954年の「250モンツァ」や「750モンツァ」、あるいは1956年の「860モンツァ」などから受け継がれたもの。一方のデイトナは、1968年に誕生した「365GTB/4」の愛称だ。

 はたしてフェラーリは、これからどのようなネーミングを復活させ、ファンを喜ばせてくれるというのか。残されたビッグネームは、もうさほど多くはないはずだ。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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