ピックアップトラックですらダウンサイジングを強いられる現実 アメリカで生産されるトヨタのフルサイズピックアップトラックとなるタンドラの現行型3代目は、2022年モデルとして正式デビューした。初代、2代目とシボレー・シルバラード、フォードFシリーズ、ダッジ・ラム(その後ラムブランドとして独立)ピックアップなど、アメリカン・フルサイズピックアップトラックの存在もあってV8エンジンのラインアップを続けてきたのだが、現行型では3.4リッターV6ターボを搭載し、あとはこのV6ターボエンジンをベースとしたハイブリッドユニットを搭載する「i-FORCE」がラインアップされるのみで、V8エンジンのラインアップはなくなっている。
トヨタ・タンドラのフロントスタイリング 画像はこちら
この3代目タンドラの登場直後から、南カリフォルニアでは排気量とシリンダー数を減らした「ハイブリッド・フルサイズピックアップトラック」が俄然注目を浴び、販売台数を伸ばしているのがわかるほどに街なかでタンドラを見かけることが多くなった。実際、暦年締めでの年間新車販売台数の推移をみると、2022年は10万4246台だったのが、2024年には15万9528台まで販売台数が増えている。
カリフォルニア州内を走るトヨタ・タンドラ 画像はこちら
今回会場で見かけたラムやフォードのフルサイズピックアップに搭載されているハイブリッドユニットを見ても、タンドラを意識したのかなあと思って調べると、フォードF-150のハイブリッドは2020年にすでにデビューしていたものの、ラムに関しては2024年発売となっていた。
OC AUTO SHOWはローカル自動車ショーであり、販売促進に直結したショー内容となっている。そのショーでハイブリッド仕様をメインに展示してきたのだから、やはりタンドラが南カリフォルニアにおけるフルサイズピックアップトラックの風向きを変えたということは否定できないものと考えている。カリフォルニア州はアメリカ国内でも突出してBEVが普及しており、環境問題に敏感な住民も多いので、ピックアップトラックとはいえ環境に優しいモデルが好まれる傾向が目立っているようである。
シボレー・シルベラードEVのフロントスタイリング 画像はこちら
心配なのはGMブランド(シボレー/GMC)のフルサイズピックアップトラックである。調べた限りではハイブリッドユニットはラインアップされていない。もちろんタンドラであってもすべてハイブリッド仕様が選ばれているとは思えないものの、ラインアップにハイブリッドがあるかないかはイメージが大きく変わることになるだろう。事実、期末セールではGM系フルサイズピックアップトラックはまさに「投げ売り」状態であった。
南カリフォルニアでHEVが注目されて久しいが、日本車が得意とするコンパクトクラスだけではなく、「アメリカの魂」といわれるフルサイズピックアップトラックまでHEVが注目されるようになってきているのである。ただし南カリフォルニア地域でとくに強い傾向が出ているようだということは付け加えておく。