ル・マンを制した世界の荒 聖治がラリーに挑戦! 当日いきなりマシンに乗る「ぶっつけ本番」での気になる結果は? (2/2ページ)

初参戦ながら高い技術力を見せつけた

 18日のレグ1の天候は曇り/雨で、路面はドライからウエットという難しいコンディションのなか、荒選手も苦戦の展開。リザルト的にはJN-3クラスの最下位となる9番手でレグ1を終えることとなったが、「レースとの最大の違いはペースノートを聞いて、それをイメージして走るという部分ですが、そこに関しては走行を続けるたびによくなってきたと思います。同時に路面コンディションというか、路面の荒れ具合は出走する順番で大きく変わってくるので、そこのフィードバックがいかに大切なのかもわかりました」と語るように荒選手は実戦のなかで多くのことを吸収している。

 さらに翌19日のレグ2の天候は曇りで、路面はウエットからドライに変わる難しいコンディション。そのため、レグ2では脱落者が続出するサバイバルラリーが展開されることとなったが、荒選手は最後まで安定した走りを披露しており、クラス7位でデビュー戦をフィニッシュした。

「今回の目的はペースノートをしっかり聞いて、その情報をイメージしながら走ることだったんですけど、レグ1で走ったあとに感覚にズレがあったので、昨夜、ホテルの明治選手の部屋でペースノートを修正しました。その甲斐あって、ノート自体の精度は上がってきたんですけど、ペース上がっていくにつれてズレが出てきまして。レッキの段階から本番のスピードやアングルを意識しておかないといけなかったことに気づきました」と、ラリーデビュー戦を振り返る荒選手。

 さらに「レグ1の午前中は怖かったのでかなりペースを抑えたんですけど、午後からはペースをアップして、レグ2は楽しく走れました。まだまだレベルが低いので精度を上げて、またラリーに挑戦したいですね」と荒選手は語る。

 デビュー戦を終えた荒選手について、チーフメカニックの熊崎氏は「荒選手は明治選手と初対面だったし、レグ1でクルマに初めて乗る状態ですが、無事に走り切ったと思います。レーシングドライバーとしての技術は高いので、目視で走ればもっとペースを上げられたと思いますが、あくまでもラリーの技術、ペースノートリーディングで走ることを習得することが目標だったので、きっちり走り切って経験を重ねることができたので、今回は上出来だったと思います。それに、レグ2はペースノートで走れるようになってきたことで、タイムアップをしていましたからね。今回はあえてトヨタ86で参戦して頂きましたが、次回は4WDターボでも面白いと思いますね」と荒選手のスキルアップを高く評価。

 さらにコ・ドライバーを務めた明治選手も「やっぱりドライビングが上手いので、横に乗っていても安心感がありました。クルマ自体、ノーマルギヤなので立ち上がりが悪く、それがタイムにも影響したと思いますが、マイルを重ねたことで確実に進化していたと思います」と語る。

 荒選手のターゲットは海外のヒストリックカーラリーへの参戦で、「もともと僕はクルマ好きで、先に語ったように、ル・マン24時間レースのグループCカーとWRCのグループBに憧れていました。ル・マン24時間レースの参戦は実現できたので、今度はラリーでグループBに乗りたいですね」と語る。それだけに、ラリー競技へのチャレンジをはじめた荒選手の動向に注目したい。

 なお、ラリーハイランドマスターズではGRヤリスRally2を駆るヘイキ・コバライネン選手が2連勝を達成し、JN-1クラスでタイトルを獲得したほか、JN-2クラスではGRヤリスの山田啓介選手が4勝目を獲得し、自身初のチャンピオンに。さらに、JN-3クラスではすでにタイトルを獲得している山本悠太選手がGR86で今季6勝目、JN-4クラスでも最終戦を待たずしてタイトルを獲得した高橋悟志選手が今季3勝目を獲得した。そのほか、JN-5クラスではヤリスの小川 剛選手が今季2勝目、JN-XクラスではRAV4 PHEVの天野智之選手が8連勝を達成した。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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