Performance-E STI conceptは、SUBARUが「安心と愉しさ」をBEVでどのように再構築するのかという、未来の技術的展望を示す試金石だ。一方、Performance-B STI conceptは、水平対向エンジンとシンメトリカルAWDというヘリテージの価値を、最新の技術でいかに高めるかという、ブランドの根幹への源となる回答である。この両極端なアプローチは、技術者集団としてのSUBARUの強さと、既存資産への自信を示している。
ブースに展示された1983年製のSUBARU GL Family Huckster(レオーネ ツーリングワゴン)は、現在のOutbackやForesterへと連なるSUBARUの歴史と、ワゴン/SUVカテゴリーにおけるパイオニア精神を象徴する。このヘリテージモデルと最新のコンセプトカーを並置する構成は、時代を超えて水平対向エンジンやシンメトリーレイアウトによるブランドの不変性を表現している。
このように、ジャパンモビリティショー2025におけるSUBARUの展示は、電動化時代におけるブランドアイデンティティの再定義と、基幹技術の活用を両立させる、示唆に富んだものであったと評されるだろう。2台のSTIコンセプトが提示するBEVとICEの対立軸ではない「共存」の姿勢こそが、今後のSUBARUの市場戦略における最大の鍵となるはずだ。技術的な詳細、とくにPerformance-E STI conceptの駆動系制御技術の具体的な内容の公開と、実際に走る機会が切望されるところである。