庶民車のビートルを魔改造! リムジン化した通称「ロールスワーゲン」はハリウッドスターも虜にした1台だった (1/2ページ)

この記事をまとめると

■アメリカでビートルリムジンなるカスタムカーが販売されていた

■ジョン・フォン・ノイマンとトラウトマン・バーンズのタッグにより誕生した

■ハリウッド俳優にも愛用され全米が注目した1台であった

全米が揺れた魔改造ビートル物語

 アメリカで新車のランボルギーニ・ミウラが2万ドルで売られていた当時、3万5000ドルの値段が付いたVWビートルがありました。にわかには信じがたいプライスですが、ドアが4枚に増えて、全長を5mにストレッチ、おまけにエンジンもフルチューンとなれば話は別。さすがジョーク好きなアメリカ人らしく、庶民のアシだったビートルをストレッチリムジンにカスタムしてしまったのです。

 ビートルをリムジンにカスタムするというアイディアは、1968年にオーストリア人のジョン・フォン・ノイマンが思いついたもの。彼は西海岸を中心としたVWとポルシェのディーラーを経営しつつ、アマチュアレーサーとしても走っていたというクルマ好き。当時、ホットロッドカルチャーも大流行りだったことから、経営するディーラーの宣伝にはビートルのカスタムがふさわしいと考えたのでした。

 そこで、ノイマンが白羽の矢を立てたのがカリフォルニアのレースファクトリー、トラウトマン・バーンズでした。アメリカのレースシーンに詳しい方ならご存じのとおり、シャパラルやスカラベといったレースカーを作り上げた腕っこき。さらに、ロードカーのカスタムも得意分野であり、ポルシェ911の4ドアバージョンを作った際は全米のニュースで取り上げられるほどだったのです。

 無論、ノイマンがこれを見逃すはずもなく、すぐさまビートルを彼らのファクトリーに送り込んだのです。911でストレッチの経験があったトラウトマンは、「リヤコンパートメントは911よりも広げて、ゴージャスにしよう」と、単なるストレッチだけでなく豪華なリムジンにすることを提案。ノイマンがふたつ返事で了承したのはいうまでもありません。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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