「込めた提案は100%実現したいと思ってます」 衝撃のレクサスLSコンセプト「6輪ミニバン・ショーファー」は市販する気マンマンだった【ジャパンモビリティショー2025】 (2/2ページ)

固定観念にとらわれない自由な発想による高級車

 では「Luxury Space」にはなにが大切か? となった際に、やはり重要なのはVIPが着座する2列目の快適性であるべきだという点がクローズアップされました。一般のドライバーズカーでは、当然ですがドライバーズシートを優先させてスペースが固められていきますが、これまではショーファーカーもその固定観念にとらわれていました。

 この再定義で2列目を起点にすることによって、その固定観念から解き放たれ、真のショーファーカーとしてのスペース構築が行われることになりました。その結果、運転席はドライビングに差し支えない範囲で極力前方に寄せられることになりました。つまりパワーユニットはこれまでよりもミニマムさが求められます。

 そして再定義は3列目のシートにも及びます。これまでは3列目の乗員の乗降には2列目左側のシートを倒す必要がありました。これはすなわち2列目に乗るVIPを、3列目の乗員の乗り降りのために煩わせていることになります。その状況をなんとかするべきではないか? という課題に対しての最適解が「2連の小径車輪」というものだったのです。

 高級ミニバンでは、よりラグジュアリー感を高めるためにホイールの大径化がトレンドになっていて、その影響でタイヤハウスが大きくなり、3列目の乗降性のネックとなっていました。しかし今回の再定義で思い切って小径タイヤを採用することによって、一気にそのネックを払拭できました。ただ小径化せずに2連にしたのは、ショーファーカーに必要な車重を支えるためだそうです。これにより荷室の容量も増えるという二次的なメリットも得られました。

 これら一連の再定義は、こうして説明を受ければ「なんで以前からそうしなかったの?」という内容にも思えますが、こうして再定義という機会が得られたからこそ固定観念から脱することができたのだといえるでしょう。

 その再定義を踏まえて外観に目を移すと、左側二枚のドアの比率が、かなり後ろ広めになっていることに気付くでしょう。そのためスライドドアを開くと、かなりの開口部が現れます。また、後席の居住性を優先すると、窓を広くとって開放感を高くするのがセオリーに思えます。しかしそれも再定義に応じ、「後席の空間は家のリビングのような空間でもいいのではないか?」という提案を込めて、あえて木漏れ日が差すくらいのハーフシェード状態にしているそうです。

 ちなみにこのLSから始まる新たなレクサスの体制では、居住性などに関する部分をオーダー制にして、お客さんの要望に応えられるシステムも検討中とのこと。

 また、外観のデザインでは、DRLによるスピンドルモチーフが目を引きますが、このLSではこれまでのグリルで表現していた二次元の表現から1歩進んで、レクサスブランドで大事にしている「カタマリ感」を出すために車両全体のフォルムでスピンドルモチーフを表現するようにまとめたとのこと。

 ちなみに前席のドアに装着されているドットマトリクス・ディスプレイは、「さすがに展示向けのギミックですよね?」と訊ねましたが、「じつはこれも真面目に検討しています」との回答で、まだ具体的な落としどころは決まっていないようですが、こういう仕組みも積極的に採り入れていこうと考えているのだとか。

 この「LSコンセプト」はまだショーカーレベルの部分が多く、市販化まではまだ超えなければならないハードルがいくつも控えている段階のようですが、井藤さんからは「このコンセプトカーに込めた提案は、100%実現させたいと思って開発を進めています」という力強い決意が聞けましたので、期待して発売の時を待っていましょう。

 今回の発表では、目玉の「LSコンセプト」のほかにも、「LSクーペコンセプト」と「LSマイクロコンセプト」という2台もサプライズで展示されました。そちらについては別の記事で紹介します。


この記事の画像ギャラリー

往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

新着情報