「駐車場所」次第でクルマの寿命を縮める! こんなトコロは要注意な駐車の条件 (2/2ページ)

知らずにクルマに負荷をかけている場合も

<車体にかかる不均一なストレス>

 次に問題となるのが「傾斜」や「凹凸」のある駐車場である。坂道の途中に設けられたパーキングエリアにクルマを停める際、多くのドライバーはパーキングブレーキ(サイドブレーキ)を引いて停めるだろうが、なかにはセレクトレバーを「P」レンジに入れるだけの人もいる。しかし、これは危険だ。

 この状態は、トランスミッション内部の「パーキングロックポール」という爪に、常に車両重量がかかり続けることを意味するが、強い衝撃や急勾配では、このロック機構が外れるリスクがあり、車両の移動を完全に防ぐものではない。必ずパーキングブレーキをかけ、その後「P」レンジに入れるようにしたい。

 また、そのまま長期に渡り停め続けると、部品の摩耗や変形につながるおそれがある。パーキングブレーキもケーブルが伸びたり、ブレーキ機構に負担がかかったりする。こうした負荷を軽減するため、坂道ではタイヤを進行方向に対して下り坂なら縁石側へ、上り坂なら道路側へと切っておくのがセオリーである。

 そのほか、傾斜地では燃料タンク内の燃料やエンジンオイルが一方に偏るため、稀ではあるが、始動時にポンプが適切に燃料を吸い上げられないケースもある。これはとくに燃料が極端に少ない状態で長期間傾斜駐車した場合に気を付けたい。このように日常的に傾斜地へ駐車すること自体、クルマにとってストレスであることを意識しておこう。

 凹凸のある駐車場で注意したいことは、一部のタイヤだけが段差や窪みに乗っているような状態での長時間駐車だ。この状態では車体全体にねじれの力がかかり続けるため、ボディの歪みを誘引したり、サスペンションに微妙な狂いが生じ、アライメントがずれたりする原因となりうる。結果として、タイヤの偏摩耗や直進安定性の悪化といった走行性能への影響が出てくる。

<環境が引き起こす塗装や内外装へのダメージ>

 最後に、駐車場所の周辺環境に目を向けたい。たとえば、夏場の木陰は魅力的だが、「木の下」は鳥の糞や樹液が落下してくるリスクと隣り合わせである。これらは酸性度が高く、塗装面に付着したまま放置するとクリア層を侵食し、シミや変色を引き起こす。また、強風時には枯れ枝が落下してくる危険もある。

 逆に、遮るものがない「直射日光」に晒され続ける駐車場も過酷な環境だ。強力な紫外線はボディの塗装を色褪せさせ、光沢を失わせる。また、車内ではダッシュボードや樹脂パーツが熱による変形やひび割れを起こしやすくなり、本革シートも乾燥して劣化が進む。

 そのほか、沿岸部であれば「塩害」によって金属部分の錆が急速に進行し、鉄道沿線や工業地帯では空気中の「鉄粉」が塗装面に付着して錆の原因となることもある。駐車とは、単にクルマを置く行為ではなく、さまざまな外的要因から愛車をどう守るかという視点をもつことが重要なのである。


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