ひとり乗りトラックの奇抜すぎる姿は未完成だけど完成形! クルマで「社会づくり」を担うトヨタの「IMVオリジン」に天晴れ!【ジャパンモビリティショー2025】 (2/2ページ)

壊れても自力で直せるシンプルを極めたつくり

■ゴルフカートから屋根を取っ払ったようなスタイルの意味

 IMVオリジンの特異なスタイルはそうした考えをカタチにしたもので、「メーカーは安全に運搬がおこなえる土台だけを提供し、あとはユーザーが自由に活用してもらえるように“未完成”な状態でお届けする」という、これまでおこなわれていなかった新たなアプローチの現れといえるでしょう。

 その話を聞いたあとで展示車両を見てみると、初見では特異に見えたスタイルは、じつに理に適ったものだという印象に変わりました。「土台」としてのフロアは、質実剛健なフレームに板を張っただけの仕上げで、そこにフォークリフトを連想するパイプフレームで囲まれた簡素な運転席がポツンと載った状態です。

 使われている部材はほとんどが板とパイプで構成されています。これは、もし壊れたときでもドリルや溶接機などの現地で使われている設備で修理が可能なようにという配慮によるものです。近くで見てみると、ホームセンターにある部材を組み合わせたような印象を受け、たしかに自分でも修理ができそうだなと感じました。

 シャシーも極力シンプルな構造として、タフで壊れにくく、メンテナンスが容易で、廉価につくられていることが伝わってきます。ひと昔前の軽トラックを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。現状ではBEVをベースにしているとのことですが、これも現地でメンテや修理がおこなえる内燃機の搭載も選べるプラットフォームにしていくとのこと。

 この展示車両は、現段階での提案を盛り込んでカタチにしたというコンセプトモデルだそうですが、太田さんからは、「こうお話ししているいまでも、現地ではオートバイに代わる運搬手段が求められていると思いますので、少しでも早くお届けできるよう開発チーム一丸となって全力で実現に向けて進んでいきます」という力強い表明がありました。

 ある意味クルマの枠を超えて、社会づくりに貢献する運搬手段を創造するこのプロジェクトにかかわるエンジニアにとって、その使命は大きな重圧だと思いますが、やり甲斐はこれ以上ないほどのものでしょう。少しでも早い実現を願ってエールを送りたいと思います。

■IMVオリジンのテーマを楽しく伝えるブースも設置

 トヨタブースの一角には、バンダイの協力を得て実現したIMVオリジンのプラモデルの製作を体験できるコーナーを設けていました。さまざまな地域で活躍する姿を思い描きながら、自由な発想でカスタムもおこなえます。

 入り口の壁に設けられた展示スペースでは、サバンナや海、アトラクション的な場所、そして宇宙空間で活躍するイメージで作成された模型が飾られていました。


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往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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