この記事をまとめると
■7代目のカローラ/スプリンターの派生車がセレス/マリノだ
■カローラ/スプリンターではなくカリーナEDと共通するデザインが与えられた
■当時のRVブームの影響を受けて1998年にたった1世代のみで生産終了した
1世代限りとなってしまった個性派セダン
トヨタの企業CMに突如として登場し、ジャパンモビリティショー2025で実車のコンセプトモデルがお披露目となったカローラコンセプトは、4ドアセダンでありながら非常にスポーティなスタイルとなっており、純粋にカッコイイと思わせるものに仕上がっていた。
そんなカローラコンセプトは低い全高にサッシュレスのドアという組み合わせとなっていたのだが、これを見て90年代に登場した車種を思い返した人も多かったのではないだろうか。そのモデルとは1992年に登場したカローラセレス/スプリンターマリノである。
トヨタ「カローラセレス」のフロントスタイリング画像はこちら
7代目のカローラ/スプリンターをベースに生まれたセレス/マリノは、1985年に初代モデルが登場したカリーナEDが巻き起こした4ドアハードトップブームにのったモデルであり、2リッタークラスのカリーナEDに対し、1.5リッタークラスを補完するモデルとなっていた。
そのため横長のヘッドライトや、左右をガーニッシュで繋いだ一文字のテールランプユニットなど、カリーナEDと共通する意匠が与えられ、ベースのカローラ/スプリンターとは違った印象のスタイルとなっていたのだった。
1代限りで終わったカローラセレス&スプリンターマリノって覚えてる?画像はこちら
そしてインパネもベース車とは異なり、カリーナEDに近いラウンドした形状のものが与えられており、センターに備わる時計にはシステムに異常が発生したときにシグナル音とともに、文字によってその内容を表示する「マルチインフォメーションディスプレイ」の機能が組み込まれていた(一部グレード)のも特徴だった。
一方のメカニズム面はベース車と共通の部分がほとんどで、エンジンは1.5リッターと1.6リッターのハイメカツインカム、そして1.6リッターのスポーツツインカムである4A-G型の3種類が設定され、それぞれにMTとATが用意されていた。
カローラセレス/スプリンターマリノのエンジンルーム画像はこちら
このようにブームに乗って登場したセレス/マリノではあったが、90年代に入ると人気の中心は4ドアハードトップからRV(現在のSUVやミニバン)に移りつつあるタイミングであり、期待されたほどの人気を獲得するには至らなかった。
ただ完全に終わらせてしまうのも惜しいくらいには売れていたようで、1995年5月にカローラ/スプリンターが8代目へとフルモデルチェンジを果たしたタイミングで、ボディはそのままにエンジンやミッション、足まわりなどのメカニズム面を新型のものにアップデート。
さらに1997年5月にはほかの4A-G型エンジン搭載車のMTが5速から6速に多段化されたことにあわせ、セレス/マリノの4A-G型エンジン搭載車も6速化がなされていた。
ただこのころになると、完全に4ドアハードトップブームは終焉を迎えており、1998年夏にセレス/マリノの生産が終了し、1世代のみで姿を消すこととなってしまったのである。