水素ステーションが少ないならカートリッジ化しちゃえ! 夢かと思ったらじつは超現実的な豊田合成の水素カートリッジ (2/2ページ)

FCEVだけでなくさまざまなモビリティへの活用にも期待

 カートリッジ化のポイントになるのが水素を入れる容器です。実用の容量の水素を充填するためには、70MPa(メガパスカル)の内部圧力に耐える必要があります。これは大気圧の700倍という高圧になります。

 この高圧に耐えながら、もち運びができる重量に抑えるために、豊田合成の樹脂製造技術が貢献しているそうです。これまでは高圧に耐える構造材として金属が使われていましたが、重量面で一定以上の軽量化は難しいのですが、樹脂で構成することで実用レベルの軽量性が実現しています。その構造は、特殊な樹脂で内側のタンクをつくり、そこにカーボンファイバーを巻きつけたうえで、ガラス繊維で補強を行っています。そして外からの衝撃や熱から保護するために樹脂製のカバーで覆われています。

 その結果、このカートリッジは1本で約8.5kgにまとめられています。このカートリッジでは走行距離10km強相当の200gの水素を収めることができるようになっているそうで、車両本体のタンクとこのカートリッジ3本で約200kmの走行距離を想定しているそうです。

 この展示では実際の重量を体感できるものが用意されていて、持ちあげてみるとそこそこズッシリと感じますが、女性でも十分にもち運べるレベルでした。

 ブース内には、このカートリッジに車輪とハンドルが付いたような、燃料電池のスクーターも展示されていました。これは、余った少量の水素燃料で、駐車場からお店、あるいは自宅までという短距離の移動の活用を想定したモビリティです。カワイイデザインに注目が集まっていたので、これもぜひ市販してほしいアイテムです。

 これらの水素関係の展示は参考出品となっていて、実現の時期はまだ未定とのことですが、9月まで開催されていた関西万博のセブンイレブンの店舗では、このカートリッジシステムを活用したスムージーのマシンが実際に稼働していたとのことなので、そう遠い未来でもなさそうです。

本来の強みであるエアバッグの提案も

 豊田合成といえば、エアバッグで業界のシェアNo.1の実績をもっています。今回の展示では、そのジャンルの提案も平行して行われていました。

 そのなかで目を引いたのは、「ポップアップフェンダー」と名付けられた、ぶつかった相手の衝撃を緩和するシステムです。

 展示車両でそのデモを行っていました。これは、人やバイクなどの衝突を検知するとフロントフェンダーの一部がせり出して、相手の衝撃を受け止めつつ和らげる、という仕組みです。

 このほか、既存のエアバッグの新たな提案として、自動運転を見据えて乗員を360度囲むように展開するエアバッグシステムやシート一体型のもの、そしてこれも実用化が期待されている2輪車用のものが模型展示されていました。


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往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
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