恐るべきポテンシャルを誰もが発揮できる
ピットアウトしてからは下る一方の長いストレートが2本。短い1本はその中間にある。下ったぶんをテクニカルな最終セクションの急勾配で登って終わる。そのことは理解しているが、空を見上げるしかない、ピットレーン含む最終付近のテクニカルなコーナーのライン取りも掴み切れていない。なので、コーナー途中でステアリングの切り足し舵角を増やすとか、旋回中に減速するとか、日常走行で起きうる不自然な変化に対応するところも確認することができた。
インストラクターが助手席に着いて、走行モードやエンジンマップなどの変化の解説を受けながら走行開始。すでにウォームアップ走行済みなので、最初の長いストレートに出たところからアクセルペダルを深々と踏み込みV8の10000rpmを体感する。
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驚くべきは7000rpmから上、8000rpmも9000rpmも力強い加速Gに衰えも頭打ち感もなく、車速はグングン伸びて呆気なく200km/hオーバー。勢いでまわるのではなく、パワーもトルクも天井知らずに湧き上がる、味のある10000rpmだとわかる。
そのサウンドはV8特有のドロドロした印象は皆無。吸気音の「コォーン」が回転上昇で「カーン」(稚拙な擬音で失礼)と変化するシャープな排気音が心地いい。その軽快な回転感はまるで高度なチューンを受けた直列4気筒のようであり、バイクのようでもある。
そうたとえると「V8の威厳がない!?」と誤解されるかも知れないが、いってみれば澄んだ音色の直4の二重奏でもあり、現代F1がそうであるように、高効率なエンジンと公道用に排気音量を抑えたレーシングエンジンはこうなる、という見本だ。
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走行モードは公道用のチッタ、ストラーダ、スポーツ、コルサと、それの車両安定装置ESC-OFFもあるが、試乗がサーキットなので感触を掴みつつ、正味3周しかない試乗で、まさにドライバーの感知機能をフル稼動でテメラリオの特性を掴むことに集中するなか、イントラからスポーツからでいいでしょう、といわれる。
実際よりもかなり早めにブレーキを開始させるパイロンが、要所要所にガイドラインの意味も含めて立つ。なのでそこまでで加速は止めるが、メインのストレートでは5速で278km/h。6速では294km/hと、驚異的な軽快感と車速の伸び。純粋にV8エンジンだけの加速ではないモーターアシストによって、コーナー立ち上がりでも直線でも、モーターのオーバーシュート感であろう上乗せされたGフォースに常に翻弄される。
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超高速直進安定性は抜群にいい。コーナーの進入でも、フロントのベクタリング効果もあって、ステアリング操作に対して驚くほど正確に軽快にノーズがインを向く。直進安定性が高いことは最初の周回で掴めたので、コーナーで多少強引な操作をしてみても、立ち上がりでアクセルを強く踏み込めば前輪から引っ張られて姿勢は安定する。その安定性の高さが安心感に変わり、意図的にアクセルを踏み過ぎるような入力を与えると、まるでリヤ駆動車のようにパワーで姿勢を作れるということもつかんだ。
そんな印象のまま、より軽量なモデルのアレジェリータもやはり3周の試乗で渡された。
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25kgほど軽い車重、その違いが試乗でわかるのかは怪しいが、動きはよりクイックでシャープな印象を受ける。テメラリオのことが少しわかった気になったので、アレジェリータはコーナーでちょっと攻めてみた。
すると、コーナー進入のブレーキング時にリヤが落ち着かない感触になる。空力によるダウンフォースが67%も引き上げられたというのになぜか。フロントのダウンフォースも高まった状態で急減速しながら舵角を入れると、前輪は愚直に曲げる方向に。ノーズが半ば強制的にインに入ることと、リヤの接地感が薄れた不安定感は関係があるように思う。ちなみに走行モードはコルサに切り替えている。
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驚くべき車速の乗りに対して止めるブレーキは頼もしい。ピットロードのような低速走行ではジワリと繊細な操作も減速に変える。一方、超高速ではブレーキペダルの踏み応えから、踏力に応じて確かに速度を急激に奪う感触がダイレクトに伝わり、これも頼もしい。
わずか6周の試乗だが、そのポテンシャルが恐るべき高みにあることがわかった。問題は、この超絶パフォーマンスのスーパースポーツが、こんなにも容易に運転できることである。
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誰もが乗れる、操れるということは技術の進化である。タイヤのグリップ範囲内で走る限り安全性は高いことは間違いない。……ならば問題ないのか?
調子に乗ってコーナーを攻める最中、旋回中にエンジントルクを必要以上に加えた瞬間、後輪のグリップ力が抜けてスライド。同時にカウンターステアで姿勢とリヤのグリップを回復する操作をする。この場合のカウンターステアは瞬時に当てたら瞬時に戻す。これが重要だ。なぜなら、前輪の向く方向に愚直に従うから、カウンターステアを当てたままではコーナーの外に向かってしまう。
こうした瞬時に操作するスキルが、テメラリオをドライブするうえで重要だ、ということもお忘れなく。
