価格差を生んだ要因は納得できるが物足りない点もある
主要諸元として見える数字で比較すると、たしかにプレリュードはシビックとの比較でも割高にみえる。はたして、シビックより178万円も高い価値はどこにあるのだろうか。
ひとつにはプレリュードのスタイリングが挙げられる。実質的に2ドアクーペといえるフォルムは、ハイブリッドカーという分野でいえば希少価値がある。SUV全盛のトレンドに対するアンチテーゼとして評価する向きには、絶対的な魅力となるだろう。
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メカニズムでいえば、デュアルアクシス・ストラット形式のフロントサスペンション、ドライブモードに応じて減衰力を変化させるアダプティブ・ダンパー・システムが、プレリュードの価値といえる。実際、ワインディングで試乗した際には、思いどおりに曲がっていくハンドリングを楽しめた。歴代プレリュードと比べても、スポーツ度は高い。
19インチアルミホイールの内側に確認できる青いブレーキシステムも注目だ。ハイブリッドシステムを活かすよう設計された、電動サーボ専用タイプのブレンボ製ブレーキの標準装備も電動スポーツカーらしい新しさを感じさせる要素だ。
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さらに、プレリュードの特徴といえるのが「Honda S+シフト」と名付けられた、バーチャル有段シフト制御だ。8速をエンジン直結として、そこまでの領域を7速に振りわけることで、シフトダウンによるエンジンブレーキ感やステップ変速による軽快な加速感を楽しめる。エンジン回転をリアルに示すタコメーターや、エンジン音を拡張するアクティブサウンドコントロールも備わる。
冷静にみれば、技術的にはギミックといえるもので、高効率とはいいがたい部分もあるが、ドライビングファンを演出する機能としては、一定の価値を見出すことはできる。ただし、「Honda S+シフト」についてはプレリュード独自の機能というわけではないようだ。今後、ホンダのハイブリッド車には広く展開されるというから、この機能がプレリュードの価値を生み出しているとすることは難しい。
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まとめると、クーペ的なスタイリングと、デュアルアクシス・ストラットやアクティブ・ダンパーによるハンドリングが、プレリュードの独自価値といえる。そうした点を高く評価して、シビックとの178万円という価格差に納得できるオーナーが、プレリュードを手に入れている……のだと思う。
ただし、デートカーとして一世を風靡した昭和のプレリュードをリアルタイムに知っている筆者からすると、現在のプレリュードに足りないと思う点もある。それがデートカーのプレリュードではマストアイテムとされていたサンルーフだ。
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かえすがえす残念なのは、シビックには電動パノラミックサンルーフがオプション設定されていること。ルーフのサイズなどからプレリュードに設定することは難しいのだろうが、スペシャリティカーであるプレリュードを令和に復活させるのであれば、せめてガラスルーフの設定があってもよかったのではないだろうか。
仮にガラスサンルーフが標準装備となっていて、それによってシビックとの価格差が200万円に拡大したとしても、十分にプレリュードらしい商品力につながると思う。スタイリング、ハンドリングだけでない「非日常性」こそ、デートカーとしてかつてプレリュードが評価されてきた点といえるからだ。