なんとFRのジムニーがあった!?
が、しかし。そんなジムニーには「誰向け?」という謎グレードが存在している。
それが、1998年から2018年までの20年間作られていた、先代モデル「JB23」に設定されていた「ジムニーL」、「ジムニーJ2」というモデルだ。
前者のジムニーLは2000年に登場したモデルとなっており、2型をベースとている(JB23には1型から10型まで存在する)。このモデルはタウンユースメインの女性をターゲットにしたモデルで、専用色や専用加飾が施されたモデル。ジムニーJ2は2001年に誕生しており3型をベースとし、専用デザインのグリルやホイール、そのほかの加飾を採用。専用色のミスティブルーを採用していた点もトピックだ。
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これだけ聞くと、ただの追加グレードや特別仕様車に思えるかもしれないが、両モデル最大の特徴はその駆動方式にある。
それが、どちらも駆動方式が”FR”のみということ。そう、最強クロカンの一角であるにもかかわらず、なんと二輪駆動なのだ。よって車内には、4H/4Lのトランスファーが存在しないという、異色なモデルとなっている。当時のライバルモデル、パジェロミニにあったFRモデルが人気だったので急遽作ったともいわれている(両モデルのライバル、テリオスキッドにもFR専用モデルがあった)。
後者のJ2に至っては、車高をなんとベースモデル比で35mmも下げてる割り切りっぷり。リフトアップをするようなクロカン四駆の文化に逆行して、最初からローダウンしてしまっているのだ。
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とはいえこの2モデル、FR専用設計なのでパーツが少ないゆえに重量も軽く、価格も安価であったのだが、もちろん「誰向け?」ということで、両モデルともたった1年で生産を終えてしまった、いわゆる激レアモデル。ちなみにJ2専用色であったミスティブルーは今も人気色で、オールペンしてJ2風にしているオーナーもちらほら。なおこちらはウワサ程度であるが、ジムニーLとジムニーJ2は、FRのターボ車ということで、一部のジムニー教信者(!?)の間では、サーキットベース車として需要があるとかないとか。
JB23の四駆モデルを購入する際に、さすがにこの2台を間違えることはないと思うが、「意気揚々と買ったらAE86ではなくAE85でした」みたいな、某クルマ系マンガのような失敗をしないよう、トランスファーの切り替えレバーがフロアに生えているかどうかは、一応確認しておいたほうがよさそうだ。ちなみに2004年10月以降の5型と呼ばれるモデル以降は、インパネ下部にトランスファーの切り替えスイッチがあるので、レバーがなくてもご心配なく(そもそもLもJ2も設定がない年式ではあるが……)。
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