インバウンドだらけの日本で外国人ドライバーの交通マナーが問題に! 職業運転士にも外国人の採用が増えるいまどうなる日本の交通安全 (2/2ページ)

日本が好きかどうかで安全に対する意識が変わる

 筆者はワケあって、普通二種免許をもっている。普通二種は普通一種で一定の運転経験があると、受験して取得できる資格が発生する。筆者二種免許取得を通して感じたのは、なまじ運転経験のある人のほうが、それが邪魔して二種免許の本質を理解できないまま試験合格に苦労することが多いということ(当時は合否判定が厳しかった)。タクシー運転士をめざす人も多いので、年配の人も多いのだが、試験に落ちると「いままで一種で問題なく運転してきたのに……」という気もちになることが多いようだ。

 これをインバウンドなどの外国人にあてはめれば、「いままで自分の国で運転士してきたのだから、日本と異なる右側通行の国からきた人でも、運転席が右側にあって右側通行が左側通行になるだけでしょ」みたいな感覚をもつ人も少なくないだろう。つまり、付け焼刃的な日本の運転ルールなどの座学を行ったとしても、聞く耳をもつ人は少ないのである。日本と同じ左側通行の国から来たらならば、「母国と同じじゃん」となってしまうだろう。このような人たちに日本でのルール説明をしたとしても、どこまで理解してもらうことができるかは懐疑的にも見えてしまう(もちろん何もしないよりは改善は期待できる)。

 しかし、外国人だからといって事故が多いわけでもないし、日本人だってすべてがルールやマナーを守って運転しているわけではない。

 あくまで筆者の私見となるのだが、他国でクルマを運転するときは、その国をどれぐらいリスペクトしているかで運転に対する姿勢も大きく異なるものと思っている。筆者は日本以外だとアメリカでしか運転経験ではないのだが、左ハンドルの右側通行、リットルではなくガロン、キロメートルではなくマイルなど、日本との違いに興味津々ということもあった。

 初めて渡米したとき(1989年)は、アメリカが大好きで渡米を決意したこともあるので、初渡米まで一生懸命勉強したことを覚えている。英語が堪能ではないので、それこそ事故や交通違反を起こせば面倒になることはわかっているし、大げさにいえば、運転させてもらうといった気もちすらもっていた。

 とはいえ、十分勉強してきたつもりでも実際運転してみると、車線変更が急すぎる(当時は道路の作りがよくなかった)と、周囲のクルマから怒られたことをいまも覚えている。

「自国内旅行するぐらいなら物価が安めだし海外に……」と、日本を訪れるインバウンドが増えたと、街なかのインバウンドを見て筆者は感じている。これの雰囲気は日本でもかつて、週末に焼肉を食べに行くという感覚で韓国へ行っていた人が多かったころと同じようにも見えるが、一方でたまたま日本を選んだという人も目立つように見える。しかし、すべてのインバウンドがアニメ好きであったり、神社仏閣、そして日本文化全体に興味やリスペクトの気もちがあるとも思えないのは、SNSを筆頭とした、インバウンドによる迷惑動画などを見てもあきらかだろう。

 定住希望者目線で見ても、日本の医療費負担の低さなど、社会保障制度の充実は世界的にも突出しており、日本全体の賃金水準が世界と比較して際立って高いわけでもないなかでも、この優れた社会保障制度を求めて定住を希望する人も多い。「日本が好き」で来る人と、「たまたま日本を選んだ」という人とでは、話が少し遠まわりしてしまったが、日本国内での安全運転に対する意識も大きく異なるのではないかと考えている。

 残念な話だが、「日本人だから」「外国人だから」とくくるのではなく、等しく違反行為については厳しく取り締まることで、交通法規についてはしつこく周知徹底させるしかないだろう。マナーについては押し付けることもできないので(合流地点で1台ずつ譲り合うなど)、今後はいままでのように、当たり前のように日本の常識やマナーが通用しないと、自己防衛に努めることが必要になってきそうだ。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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