スバルは2026年もニュルに行く! 「安全に」「楽しく」「速く」走ることを目指して「WRX NBR CHALLENGE 2026」がシェイクダウン (2/2ページ)

見た目以上の大幅アップデートを実施

 続いて2026年参戦車両について。先述のように、2025年のレース中に他車と接触し大きくダメージを負ったマシンは日本に戻ったあと、モノコックフレームの修復をおこない、パネル類も大きく修復が行われたこと、2026年用アップデートを行ったことが説明されました。

 2026年アップデートは以下の通りです。

1:FA24型ターボエンジン出力の向上

装着されているエアリストリクターで最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、ターボのウェストゲートの電動化と制御を見直し出力を約6.5%アップ。最高速度を時速5kmアップしつつも燃費の低下を極力抑え、従来通り1スティント8ラップ走行を可能としている。

  

  

2:ABSの制御改善

新しいABSユニットを採用し、リヤのロック率を精密に制御することによって、車両の安定性を向上させた。また、ABSユニットを従来のエンジンルーム内から室内に移設し、重量バランスや整備性の向上させる。

  

  

3:サスペンションの改善

コーナリング時の内輪を有効活用するためロールセンター高を見直し、旋回時リヤのジャッキアップ動作を抑制して接地性を向上させた。また、接触アクシデントの多いNBRレース対策として、高周波焼入れを実施するなど、各部ボールジョイントの耐久性を向上させた。

  

  

4:新翼断面のエアロドアミラーを装備

ボディ外装やエアロパーツは2025年モデルを踏襲しながら、旋回性を向上させるため、フロント部のリフトを抑える形状のサイドミラーに変更。よく断面形状により多くのダウンフォースを生むことができるようになった。

  

 沢田拓也監督は「今年は日本に戻ってきた車両修復から始まり、短期間の開発でよりクルマが速くなるようにということを主眼に置いて、アップデートに取り組んで来ました。今年のレースでは悔しい思いをしたので、リベンジする気もちで頑張ります。応援よろしくお願いします」と意気込みを語りました。

 その後、コース上でのチーム撮影などを行ったあとに佐々木孝太と久保凛太郎による走行がおこなわれ、車両が問題なく走ることを確認しました。

 また、8名のディーラーメカニックによる本番車両を使っての練習も行っていました。12月中旬にはドイツに輸送されるとあって、この日が最後の実車による研修とのこと。

 高津総監督は、「レースとしてのニュルブルクリンク24時間の経験はないものの、スバル在籍時代やSTIの車両実験などで実際に多く走り込んでいるため、ニュルブルクリンク自体の経験は豊富に持っています。また、沢田監督以下チーフエンジニアは長年ニュルブルクリンク24時間に携わっているため、彼らに任せて行きたい」とも言います。

 開発副本部長として直近では、S210やBRZ STIスポーツ Type RAの開発取りまとめを行っていることから、「ニュルで得た知見をどう量産車に落とし込んでいくのかが自分の役割り」とも語ります。

 開発ドライバーを努める佐々木孝太は、「見た目以上に大きくアップデートしている。エンジンとABSの改善によって車両特性もよくなったと思います。コンディションが悪いときなどに、追い抜く追い抜かれるというタイミングでクルマが安定しない挙動を見せると、そのときはコンマいくつの世界ですが、ニュルはコースが25kmと長いので、その積み重ねで5秒6秒とあっというまに遅くなっていくんです。ブレーキや足まりが良くなることで全体的にタイムを短縮できると思います」と、マシンの印象を語ります。

 同じく開発ドライバーを努める久保凜太郎は、「今年のレースはクラッシュなどもあり、日本ではその修復に時間がかかったことで、やりたかったことを全部盛り込めたかというと、全部ではないかもしれないです。それでも、ABSの改善やエンジンパワーの向上など、レースで問題になったところをひとつずつ潰してきたことで、クルマの安心感はより向上したと感じてます。なので、どんなコンディションでも速く走れるようになったはずです。ちなみに、2025年は自分が休憩に入ると、サーキットのシステムダウンで中断が入ったり、休憩していたらマシンがクラッシュしていたりと、寝ると何かが起きるので、2026年は参戦するとなったら寝ないで頑張ります(笑)」と語ってくれました。

 2026年のニュルブルクリンク24時間レースは、5月14日から17日にかけて行われる予定です。スバルON TUBEでも配信が行われる予定とのことで、日本から多くのエールを送って、いい結果に期待したいところです。


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