オーディオシステム全体の質感を底上げ
では、ツイーターがないオーディオだとどんな音になるのか。簡単にいえば、人の声ならマスクをして喋っているようなこもった声に聴こえ、音楽なら音像が、ツイーターがあるサウンドシステムに対してぼんやりしてしまう可能性がある。ボーカルの鮮明度、楽器の細かい表現や透明感も再現しづらくなるというわけだ。
逆に、適切に設置されたツイーターがあるオーディオだと、高音部が豊かでクリアな音が再現でき、音量が小さくても音楽、ラジオの声などが聴きやすくなる。そしてもっとも重要なことに、よりいい音で音楽が聴くことができ、オーディオシステムとしての満足度が大いに高まることになる。
トヨタ・アルファードの一部グレードに用意されているJBLプレミアムサウンドシステムにも、ホーンツイーターがフロントピラーとスライドドアに用意されている。
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1980年代のオーディオカスタムでのツイーターは、主にダッシュボード上の奥に設置されることが多かった記憶がある。理由はあと付けしやすく、音質的に有利なスピーカーの向きに置きやすいメリットがあるからだ。が、いまではAピラーの付け根の三角パネル部分やAピラー内に埋め込む手法が標準装備・カスタムともに主流で、サウンドの左右の広がりが得やすいといわれている。
ただし、前席乗員との距離が近くなるため、高音が強く聴こえてしまうデメリットがあり、オーデイオシステム全体のチューニングは不可欠だ。ただし、ドアミラー裏にツイーターを設置すると、雨の日のドア開閉時にスピーカーが濡れてしまう可能性があるので要注意である。
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最後に、プロミュージシャンから自動車専門誌の編集者を経てモータージャーナリストになった筆者は、いまではオーディオマニアではないものの、依然音楽好きのひとりだ。いまでは家庭用としてBOSEのサウンドバーやJBLのスピーカーシステムを愛用しているが、現在の愛車、フォルクスワーゲン・ゴルフのオーディオは純正オプションのデンマークのハイエンドオーディオメーカー、ディナウディオのプレミアムサウンドシステムだ。
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総出力400W、10チャンネル、ラゲッジルーム床下のサブウーファーを含む9スピーカー構成で、素晴らしい音を聴かせてくれる。そのツイーターもAピラー埋め込みとなっていて、低音から高音域までのバランスのいい、たとえばボーカルがまるで目の前にいるかのような、ラジカセでは聴こえてこない繊細な音の再現性にも優れたサウンドを聴かせてくれて大満足。いま自身最上のリスニング空間になっているほどである。これもまた、ツイーターを含む9スピーカーの構成があってのことだろう。