素人が操るのは相当に難しい
●急旋回して怒られる
通常のカウンターフォークよりも小まわりがきくリーチフォーク。もちろん慣れてくれば狭い走行内でも軽快に移動できる。そしてアクセルレバーを倒すとそれなりにスピードも出るのだ。少しだけ操作に慣れたころ、試しにパレットとパレットの間を移動しようとしたときのことだ。いつも見ている超ベテランフォークマンがやるようにハンドルをくるくるしながらバックで走行したのだがこのとき「ツメを出したままそんなスピードで曲がったら転倒しちゃうよ」と怒られた。
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まさかフォークリフトが転倒するなんて想像もしていなかったのでびっくりだった。あとで調べてみるとリーチアウト(ツメが前にせり出た状態)のままでの急旋回は転倒事故も多いのだ。
●上部の空間には気がまわらない
フォークリフトには、荷物が落下してしまった際に運転者を守るためにヘッドガードなる装備が付いている。操作中は視界に入らないので、ついつい存在を忘れがちなのだが、これは狭い倉庫内では思わぬ事故につながることもある。
前はツメの長さを気にして、後部は荷物がないか確認する。それと同時に頭の上にせり出している荷物や棚がないか、高さの低い入口がないかということも確認する必要がある。
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そして筆者はもちろん頭上の空間まで気にする余裕などない。
「そのまま進んだら、倉庫の入口上部を破壊するよ」ベテランフォークマンにいわれ、ゆるゆるとバックした。ちなみにヘッドガードだけなくツメが装着されているマスト部分も高さがあるので、こちらも接触事故には注意する必要がある。
●突き出た爪で荷物を破壊
荷物の上げ下ろしやツメの差込を練習させてもらったが、理解していないと荷物を破損するケースとしてパレットの大きさの勘違いがある。パレットの長さがツメよりも長ければいいのだが、逆にツメのほうがパレットよりも長い場合、奥までツメを差し込むとツメの先端はパレットから飛び出ることになる。
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この飛び出た部分で、すでに置いてある荷物を突き刺して破損させるというから恐ろしい。とくにパレットを隙間なく並べる場合、突き出たツメがパレット上の荷物に当たらないように注意が必要なのだ。そしてベテランフォークマンからの教えはこうだ。
「パレットが同じ大きさと思うな!」
たった1時間ほどのリーチフォーク操作であったが、こんなヒヤリハットなことがいくつもあった。もちろん慣れもあるのだろうか、習熟度がゼロに近い筆者が思ったことは「こんなポンコツ状態では物流倉庫でフォークマンとして働くのは絶対にムリ」だ。
外から見ているベテランフォークマンは流れるように倉庫内を移動し、さらに淀みなく荷物を上げ下ろしているので、完璧とはいわないが似たような動作は自分にもできるのではないだろうかと思っていたことが恥ずかしい。それほどフォークリフトの操作が簡単ではないということをが伝われば幸いだ。