会場は注目の新車が集結し大賑わい!
さてここで、会場内をちょっと覗いてみよう。
次世代自動車試乗会の会場は、道の駅おおたの駐車場のうち、3分の1程度を占有し、各メーカーが試乗車や展示車を置いているといった様子。筆者の場合、試乗会や取材会で散々見ているので麻痺してしまっているが、最新モデルが1カ所に10台前後も集まっているとなれば、知らずに来ても、自ずと目も行くはず。試乗コースは道の駅を起点に3km15分ほどとのこと。
太田市主催 次世代自動車試乗会の様子画像はこちら
まずはN-ONE e:が出たばかりであるホンダに、今回のイベントについて話を聞いてみた。ちなみにここに来ているのはメーカー本体ではなく、各地域の販社が展開するディーラーのスタッフたちだ。
「我々は太田市がメーカーへ問い合わせたのち、本社からの出展の依頼が来て、今年より初参加となりました。EVはハードルが高いと思われがちですが、試乗いただくと乗る前と意見が180度変わる人が多く、いい評価を多数頂いています。正直バカ売れはしていませんが、群馬、とくに太田近郊は農家が多く、農機具の関係から200Vを引いている家も多いので、長距離を乗らないシニア層からN-VAN e:が支持されていますね。N-ONE e:については出たばかりですが、乗用タイプの軽EVとのことで、皆さんより注目いただいている印象です」と語った。実際、前述のようにホンダの試乗枠は早々にほぼすべて埋まっていた。
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続けて、「このようなイベントはとてもいいと思います。電動車はやはり1度乗ってもらわないとそのよさがわかりませんから。ただ、群馬県は急速充電などのインフラがちょっとイマイチでして……。我々が押し出して、より広めるにはインフラ整備が課題ですかね」と、販売店目線での課題についても触れてくれた。
続けて向かったのはスバル。意外なことに群馬県、それも太田市がお膝もとなはずだが、参加は今回で2回目とのこと。
「我々は2025年、フォレスターにストロングハイブリッドのS:HEVと、マイナーチェンジで航続距離が伸び、価格も下がったソルテラが加わりました。とくにソルテラは、補助金などをあわせるとフォレスターとほぼ同じ値段で買えるんですね。そんな事情もあってか、40代以上の人たちにかなり注目されています。まだまだEVは発展途上で、メーカーが推していく技術です。なので、EVのパイオニア的存在である日産のディーラーと意見交換会などをたまに実施して、スバルの社員たちがEVに対する理解度を深める活動をしているほか、販社の営業用のクルマにもソルテラなどを導入し、行き先でEVのよさを広める活動をしています」と語る。
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また、「実際EVに乗ってもらうと、この加速力と静粛性に驚く人が多いんです。S:HEVやEVといった環境にいいクルマが、”スバルにはこんなにあるんだぞ”と、こういった試乗会を通してもっと広めたいです。スバルでは”体感試乗”を大事にしてますから」と語ってくれた。
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もう1社紹介しよう。それが、スバル同様にここ群馬県太田市に本社をもつミシュランだ。
「次世代自動車じゃないだろ!」となるのもわかるが、このイベントの功労者はじつはこのミシュランである。なぜなら、この次世代自動車試乗会を開催する前、もともとミシュランがここ道の駅おおたで、道の駅にやってきた人たちの愛車のタイヤを、無料で点検するというイベントをやっていたのだ。そこに太田市より、「試乗会を併催したい」との相談があり、9年も続くイベントにまで成長した背景がある。
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「もともとは秋の交通安全運動の時期に、タイヤのチェックを無料で行うイベントをやっていたんです。意外にも愛車の空気圧や残り溝を考えてない人が多くて、じつは今でもそんな感じの人が多いです。適正の空気圧で走れば、燃費も伸びてタイヤも長もちします。どんなクルマにも共通していえることなので、タイヤの管理はもっとも身近なエコ活動なんですよ」
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ミシュランのいうことはごもっともなのだが、本格的なサービスカーに何人ものスタッフが取り囲むミシュランブース。一般の人が見たらちょっと気が引ける気がするが、お客さんはミシュランのスタッフが駐車場を見まわりして、点検が必要そうな人に自ら声がけしているとのこと。
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もちろん点検費用は無料で、ミシュラン関係の粗品までくれる太っ腹っぷり。毎年ここでやっているので、リピーターも多いそうだ。なお、オーナー自ら「見てほしい」というリクエストも大歓迎だ。
点検の模様はレースのピットでやるような雰囲気で本格派。全輪にスタッフがつき、残り溝や空気圧をチェックし、スペックシートに記入。オーナーにアドバイスをするといった流れだ。なかにはレース系メカニックもいるとか(!?)。
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さて最後に、参加者はこのイベントをどう思っているのだろうか?
話を聞いたのは、「今日全部乗りに来たんだよ!(笑)」と語る今坂さん。「EVは興味あるけど高いんだよねぇ」というが、アウトドアなどの趣味をもつ都合から、電源が確保できるクルマが欲しいそう。
「群馬は一家に1台が当たり前の地域でさ。仕事もクルマで行く人が多いんだよ。けど、仕事に行くのって距離も決まってるし、多少寄り道してもたかが知れてる。だからEVって普段の足には相性いいよねって今考えてるのよ。eビターラやソルテラなんかは普段使いもできるサイズなのも好印象かな。eビターラはこのなかでとくに注目1台だよ。BYDは群馬で乗る機会がないから視察も兼ねて……(笑)。中国のEVがどんなもんか気になるよね」
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かなりEVに興味をもっている様子だったので、「近いうち購入する予定があるのか」聞いてみると、「やっぱり値段がネックかなぁ。400万円以下でリセールもそこそこよくて……そんなモデルがあればベストかな。コロコロ買い替えたくないから、少しでも長く……まあ10年くらいは乗り続けたいよね。ワガママだけど、このへんの条件がクリアできるEVがもう少し増えたら全然アリかな。家を満充電の状態で出発して、途中で急速充電とか使えば長距離も平気そうだし」と、いろいろなモデルに乗りつつ、今後の技術の進化に期待といった具合。ちなみにイベントには初参加だったとのこと。
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群馬県の太田市という行政が主催する、一風変わった「次世代自動車試乗会」。群馬県を走るクルマたちが日本のどのエリアよりも次世代化する未来は、そう遠くないのかもしれない。きっと年々パワーアップし、関東を代表するイベントになることだって、夢物語ではないだろう。