オートバックスにはスゴ腕チューナーが潜んでいた! 3台のデモカーをドリキン土屋圭市がサーキットで徹底チェック!! (1/2ページ)

全国のオートバックスが仕上げた最新鋭のデモカーたち

 オートバックスといえば、全国規模のカー用品店チェーン。クルマ好きならずとも、ドライバーなら足を運んだことがあるのではないだろうか。そして、用品の購入だけでなく、オイルやバッテリー、また今の時期ならタイヤの交換で、ピットサービスを利用する機会もあるだろう。

 しかし、一般的なメンテナンスだけでなく、本格的なチューニングを独自に行っている店舗もあることをご存じだろうか。今回、そうした店舗のうち、A PIT東雲とスーパーオートバックス浜松が、自慢のデモカーを袖ヶ浦フォレストレースウェイへもち込みテストを敢行。我々はそのテストに密着し、車両開発の狙いや、チューニングの成果を探った。

 まずは、A PIT東雲のデモカーから。このたびもち込まれた車両はGRヤリスと、シビック タイプR(FL5)だ。この2台の主なチェック項目は足まわりで、車高調キットのHKSハイパーマックスGATE SPEC(ゲートスペック)が装着されている。このGATE SPECは、チューニングパーツを手掛けるHKSと、A PITオートバックス東雲、スーパーオートバックス浜松が共同開発し、この2店舗とスーパーオートバックス東福岡に展開するHKSのサテライトショップ、HKS GATEでのみ販売されるアイテムだ。

 ベースとなるのは、HKSのストリートを重視した車高調キットであるハイパーマックスS。同社はサーキット重視のハイパーマックスRもラインアップするが、GATE SPECはその中間に位置する。コンセプトは「安心・安全」。ストリートでは快適でありながら、サーキットも不満のないレベルで楽しめて、どちらも安心して安全に走れることをテーマに掲げている。日常使いもしている愛車で、自走して走行会に参加したいというオーナーなどには最適のオールマイティな仕様だ。

 GRヤリス用はすでに販売されており、今回はセッティングのチェックを実施。一方のシビック タイプR用は目下開発中で、最終段階の調整と確認を目的に袖ヶ浦へもち込まれた。A PITオートバックス東雲の小野祐介氏によれば、開発の狙いは「ノーマルの足が硬めなので、よりしなやかに動くようにしました」とのこと。「乗り心地もいいですし、それでいて走れる足に仕上げています」

 開発を担当したレーシングドライバーの木下みつひろ氏は「最近はタイヤの剛性がかなり高いので、乗り心地の悪い足だとタイヤが路面から離れるタイミングが出てくるんですね」と語る。「そこで、路面追従性を上げることで安心して走れるよう、タイヤのコンセプトも理解した上で減衰力を合わせ込んでいきました。減衰力を最強にしても最弱にしても、路面追従性を損なわないという、これまでの車高調にはないところを目指しています」

 そうした目標を実現するため、このシビック タイプR用では、これまでのGATE SPECになかった新たな試みが盛り込まれている。「フロントのケース長を、ベースのハイパーマックスSより延長しています。それによって、ストロークをより大きく取ることで、ストラットの美味しいところを引き出しています」

 さらに苦労したのが、走りの質感を確保することだったと、木下氏は振り返る。「今回のシビック タイプRは、これまでの日本車とはレベルが違うくらいボディ剛性が高いので、車高調で質感を出すのが非常に難しいクルマでした。ノーマルでマウントなどに使用するゴムが、車高調ではだいぶ減ってしまいます。それでも異音が出ず、ノーマルの質感のよさを損なわない味付けにするのが難しかったですが、家族を乗せても快適に過ごしてもらえる足になっていると思います」と語る。


この記事の画像ギャラリー

新着情報