BEV化が一気に進んだタイで中華EVに陰り! 代わりに台頭しつつある日本のハイブリッド (1/2ページ)

この記事をまとめると

■2025年11下旬から12月上旬にかけてバンコクモーターエキスポが開催された

■タイの新車市場は洪水被害などにより低迷している

■日本メーカーのHEVがタイで高く評価されており人気を集めている

タイではHEVが人気カテゴリーに

 2025年11下旬から12月上旬にかけ、タイの首都バンコク近郊で開催された、モーターエキスポ2025(第42回タイランド・国際・モーターエキスポ/通称バンコクモーターエキスポ)取材のため会場やバンコク市内を訪れると、新車がさっぱり売れないという嘆きの声を多く聞くことができた。

 それではと2025年1月から10月でのタイ国内累計新車販売台数をみると、前年同期比プラス3.9%となる49万5001台となっていた。しかし、「聞く話と統計に乖離があるような……」と思うのは早合点。2024年は9月にタイ北部で甚大な洪水被害が発生しており、9月以降のタイにおける新車販売はまさに急降下となっていたので、前年同期比プラスというのは、「2024年よりはマシ」という状況を現わしているといってもいいだろう。

 それでも、「2024年の洪水被害の影響も落ち着いたかな」と思った瞬間、2025年11月には南部で300年ぶりともいわれる大規模な洪水被害が発生している。今後の新車販売統計に悪影響を与えるのは必至であるのは間違いないだろう。

 今回の洪水被害では農村部だけではなく、都市部も甚大な被害を受けている。ニュース映像を見ているだけでも多数のBEV(バッテリー電気自動車)が水に浸かっている状況を見ることができた。クルマがすっぽり埋まるほどの水位の浸水被害を受けている市街地もあるが、そこまで浸水被害が及んでいない地域ではICE(内燃機関)車であれば再生が可能であっても、BEVでは不可能というケースも多発しているようで、全体被害の大きさとともに自動車保険会社は保険金の支払いに頭を抱えていると(そんなレベルを超えた深刻な状況との噂も)の話も聞いている。

 2024年の洪水被害のときもそうであったが、このような災害が発生するとタイ国内で「わが国ではBEVは無理があるのでは?」という風評に近い話が伝播することとなる。今回は2024年を超える被害となるので、BEVにはさらなる逆風が吹くのではないかとの懸念の声も出ている。

 2025年1月から10月での累計新車販売台数における日系乗用車のシェアは61.3%となっているが、2024年比で3.5%シェアを落としている。日系ブランド内でみると、三菱自動車のシェアダウンによって、ほぼすべて日系ブランド全体のシェアを下げている。

 しかし、東南アジア市場における三菱自動車では、コンパクトMPV(多目的車)となるエクスパンダーシリーズ(派生モデルエクスパンダークロス含む)が各国で大ヒットしている。そのエクスパンダーシリーズは今回のモーターエキスポ2025にて改良新型モデルを発表している。つまり、ヒットモデルが改良を控えた端境期となっていたことで、ブランド全体の販売シェアダウンを目立たせてしまったともいえるだろう。中国系ブランドに押されているわけではなさそうである。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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