この記事をまとめると ■BYD のPHEVモデル「シーライオン6」が上陸した
■ほとんどの領域をモーターで走行でき最大航続距離は1200kmを誇る
■前輪駆動モデルの価格は400万円以下となっておりコストパフォーマンスに優れる
待望のPHEVモデルが上陸 BYDが日本市場向けに初めて導入したプラグインハイブリッドSUV「シーライオン6 PHEV」は、これまで電気自動車(BEV)モデルを中心に展開してきた同社のラインアップに、待望のプラグインハイブリッド(PHEV)を搭載した意欲作である。同社ではこれを「スーパーハイブリッド」と呼び、EVの静粛性とモーター走行の滑らかさを備えつつ、高効率ガソリンエンジン搭載で航続距離を気にすることなく1000km以上の長距離ドライブを可能とし、SUVとしての実用性も同時に満たすモデルとして仕上がっている。実際の走りの印象は想像以上に洗練されていたのでリポートしよう。
BYD シーライオン6 画像はこちら
まず、走り出しで感じるのは、モーター駆動ならではの滑らかさと静粛性の高さである。18.3kWhのBYD独自開発「ブレードバッテリー」は、前輪駆動モデルでEVモード時の航続距離を約100km確保する仕様となっており、日常の都市部走行ならほぼ電気のみで完結することができる。モーターだけの走行がデフォルトで、バッテリーのSOC(State of Charge)が25%以下になるとハイブリッド走行に切り替わるシステムを採用している。
パワートレインは、熱効率43%を誇る直列4気筒1.5リッターガソリンエンジンと前輪駆動用モーターを組み合わせた構成で、エンジンは最大出力72kW(約98馬力)/最大トルク122Nmを発生。モーターは145kW(約197馬力)/最大トルク300Nmを発揮する。最高出力合計は160kW(約218馬力)程度とされ、0-100km/h加速は約8.5秒という数値を記録すると公表されている。これは車両重量が約1900kg前後あるミッドサイズSUVとしてはなかなかの俊足であり、日常から高速域までストレスなく走れる加速性能といえる。
BYD シーライオン6のエンジン 画像はこちら
エンジンは、シリーズモード走行の場合は発電専用機として運用されるため、駆動フィールはEVのように滑らかであるのも特徴だ。高速道路ではクラッチがつながりエンジンのトルクが駆動にも寄与する場面もあるが、その切り替えも極めて自然で、アクセルペダルの応答性はEV的な印象が強い。
エンジン自体の騒音や振動は極めて高いレベルで抑制されており、必要以上に回転が上がらないよう効率重視に制御されているため、車内へのエンジンノイズ侵入は最小限だ。
BYD シーライオン6を操る中谷明彦氏 画像はこちら
足まわりは欧州車にも通じるしっかりとした設計で、舗装路の継ぎ目や細かな段差をしなやかに吸収する。SUVらしい車高の高さを感じさせず、ボディ剛性とタイヤの転がり抵抗が絶妙にバランスされており、滑らかさと安定感が両立されている。
BYD シーライオン6のホイール 画像はこちら
試乗中、路面の状況にかかわらず車体の安定性は常に保たれ、質感の高さもプレミアムブランドに引けを取らない乗り味を示していた。