長い歴史をもつFFコンパクトカーの代表格
VWは、タイプ1のあと、ゴルフでは一転してFFへ変更した。ビートルは、移動の要は果たしたが、荷物を運んだり、乗車人数が増えたりした際の利便性や快適性は十分でなかった。FFを選ぶことで、人と荷物をたくさん積める小型車の定番となった。英国のミニも、庶民のクルマとして小さな車体で人と荷物を運ぶには、FFが最適とした好例だ。そして、日本のホンダも、シビックでFFの合理性を実証した。
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スバルは、レオーネの時代に商用のバンで4輪駆動に初挑戦した。それまで、スバル1000をとっかかりにFF車を作ってきた。しかし、従来は4輪駆動というと悪路走破のためという印象が強かったが、レオーネバンのAWDは舗装路でも安定性を発揮し、乗用のツーリングワゴンを売り出して人気を得た。
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アウディも、VWゴルフなどの技術を活用したFF車を作っていたが、ラリーでの活躍を視野にAWDを開発し、クワトロという名称を与えブランド化した。それが、アウディならではという独自性を生みだしたのであった。
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技術的な時代の背景と、新たな商品性という模索のなかで、それぞれの自動車メーカーが採用した駆動方式に成果が得られ、それがブランドへ成長した。また生産工場も、それぞれの方式の生産技術が成熟し、変更を難しくしたかもしれない。
一方で、電気自動車(EV)の時代を迎え、エンジン車時代の駆動方式のよさが必ずしも当てはまらないことも見えてくる。象徴的なのは、ホンダeが後輪駆動を採用したことだ。
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エンジンのような大きな部品と、それにまつわる排気系などの部品が必要がなく、駆動用バッテリーを後輪駆動へ切り替えている。この先、EVが主力となれば、駆動方式へのこだわりは薄れていくかもしれない。